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  • 新幹線を途中下車して30分。国宝・犬山城と、名古屋周辺で地元が通う「普段着ラーメン」の旅

    新幹線を途中下車して30分。国宝・犬山城と、名古屋周辺で地元が通う「普段着ラーメン」の旅

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    東京と大阪を新幹線で行き来する予定があるなら、名古屋で一度降りてみるのはどうだろう。

    わざわざ名古屋を目的地にする、という話ではない。ゴールデンルートのど真ん中に名古屋があるので、どうせ通る。そこで一日だけ余裕があるなら、電車で30分のところに国宝が2つある町がある、という話だ。

    犬山という町で、私はここに何度も来ている。地元だからというより、毎年の祭りがあって、季節ごとに行く理由があるからだ。

    先に結論を書いておくと、この町は一泊したほうがいい。 理由は最後に書く。

    名古屋城か、犬山城か

    まず整理しておくと、大きさで言えば名古屋城が圧勝する。あれは金のシャチホコが載った、誰もが思い浮かべる日本の城だ。

    ただし名古屋城の天守は戦後のコンクリート再建で、現在は耐震性の問題で中に入れない。

    犬山城は現存天守だ。 江戸時代より前に建てられた木造の天守がそのまま残っているもので、日本に5つしかない。姫路、松本、彦根、松江、そして犬山。名古屋から日帰り圏にあるのはここだけになる。

    登ってみた感想を正直に書くと、中は意外とこじんまりしている。 姫路城のような巨大さを想像していくと、肩透かしを食うと思う。ただ、それは古いからだ。天守が小さいのは、城が巨大化していく前の時代の建物だから。

    最上階は外周をぐるりと回れる回縁になっていて、木曽川と濃尾平野が見渡せる。手すりは確かに低い。 ネットで「怖い」と書かれているのは誇張ではないと思う。私は平気だったけれど、高いところが苦手なら、無理に外へ出なくても中から十分に眺められる。

    入場料が倍になった

    ひとつ知っておいたほうがいいことがある。犬山城の入場料は2026年3月1日から、550円から1,000円になった。 ほぼ倍だ。

    理由ははっきりしている。天守の防災設備の改修と、史跡の整備。そして来場者が増えすぎたことだ。2024年は65万人、2025年は69万人を超えて過去最高を記録している。木造建築は人が歩くだけで床や階段が摩耗するので、混めば混むほど傷む。10年後には国宝指定100年、その2年後には築城500年という節目も控えている。

    「1,000円と聞くと一瞬足が止まる」というのは正直な反応だと思う。ただ、これは維持のための値上げだ。

    有楽苑は、正直に書いておきたい

    犬山城から歩いて行ける場所に、もうひとつ国宝がある。茶室の如庵だ。

    国宝の茶室は日本に3つしかない。 京都の待庵、大徳寺の密庵、そして犬山の如庵。そのうち待庵は事前の申し込みが必要で、密庵は見学できない。誰でも行けば見られるのは如庵だけということになる。

    これは相当すごい話だと思う。織田信長の弟である織田有楽斎が建てたもので、1936年に国宝に指定されている。内部には入れないが、外から中を覗くことはできる。二畳半台目という変則的な間取りで、床脇に斜めの壁を入れた「筋違いの囲」、腰に古い暦を貼った暦貼り、竹を隙間なく並べた有楽窓。そういう特徴があるらしい。

    らしい、と書いたのは、私がそこまで熱心に見ていないからだ。

    行ってみた実感を言うと、客がほとんどいなかった。人気がないのだと思う。庭園としての雰囲気も、京都を何度も歩いている身からすると、正直そこまでではない。

    そして入苑料が1,500円する。 犬山城の1,000円より高い。単体で払うにはためらう金額だと思う。

    なので私の結論はこうなる。わざわざ1,500円払って行く場所ではない。ただし安く入る方法が2つあるので、それなら行けばいい。

    その方法は後で書く。

    城下町は、思っていたのと違った

    犬山城の下には城下町の通りがあって、ここが食べ歩きのメインになる。

    ただ、「城下町」という言葉から想像するものと、実際に並んでいるものは、けっこう違う。

    団子も五平餅も目に入らなかった。田楽もなかった。りんご飴はあるのかもしれないが、私が見たのはフルーツ飴のほうだ。スイーツとカフェがとにかく多い。 レストランもある。全体として、現代っ子が好きそうな店と、おしゃれを前面に出した店が並んでいる。

    江戸時代の門前町のような食べ物を期待していくと、たぶん違うと感じる。でもそれは悪いことではない。食べ歩きの通りとしては、むしろ今のほうが楽しいと思う。

    ひとつ面白かったのは、飛騨牛の串焼きが相変わらず多いこと。 飛騨牛は岐阜のブランドで、ここは愛知だ。それが県境を越えて城下町の定番になっている。飛騨牛は肉質3等級以上という間口の広い基準でブランドを設計していて、年間1万頭くらい認定される。だからこうやって観光地で串焼きになる。A5とB5しか名乗れないブランドでは、この値段で串は焼けない。

    平日は、混んでいない

    行ったのは平日だったが、混雑はしていなかった。ゆっくり歩いて、のんびり食べ歩きできるくらい。

    それでも観光客はちゃんといて、中国語や韓国語が聞こえてきたし、見た目が欧米系の人も何人か見かけた。

    愛知県を訪れる外国人観光客は、その半数以上が名古屋城・名古屋駅周辺・栄・大須に集中していて、県内の広い範囲への誘客が弱いことが県の課題になっている。犬山はその外側にある町だけれど、平日でも複数の言語が聞こえるくらいには見つかっている、というのが実際のところだ。

    裏を返せば、週末はそれなりに混むということでもある。69万人が来ている城なので。

    安く回る方法が3つある

    さっき保留にした話がここに来る。

    名鉄の「犬山城下町きっぷ」

    名鉄が出している企画乗車券で、名鉄名古屋駅からだと1,950円。 中身はこうなっている。

    • 名鉄電車の往復割引乗車券
    • 犬山城の入場券(1,000円)
    • 有楽苑の入苑割引券(1,500円→1,100円)
    • 犬山城下町のクーポン券(対象14店舗、3回つづり)

    名鉄名古屋駅から犬山までの片道運賃と、犬山城の入場料だけでほぼ元が取れる。そこに有楽苑の400円引きと食べ歩きのクーポンが付いてくる計算になる。

    乗車券と犬山城の入場券は連続2日間有効なので、泊まりの旅程でも使える。クーポンは2027年4月1日まで。

    名鉄のアプリ(CentX)版だと1,840円でさらに安いが、こちらは名鉄名古屋駅と犬山駅の間に限定される。

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    犬山城+有楽苑のセット券

    現地で買うなら、犬山城と有楽苑のセット券が2,000円ある。個別に買うと2,500円なので500円安い。

    車で行くならこちら、電車なら犬山城下町きっぷ、という使い分けになる。

    犬山祭の夜

    毎年、家族で犬山祭に行っている。ユネスコの無形文化遺産に登録されている祭りだ。

    昼の部もあるけれど、私が行くのは夜だけにしている。日が落ちてから山車に提灯が灯るので、そのほうが圧倒的に風情がある。時間帯でいうと18時30分ごろから21時ごろまで。

    観覧スポットを探す必要はない。駅から城の下まで出店が続いていて、みんなその通りを歩いている。 山車のほうから向こうに来るので、歩いていれば見られる。どこで待つか、何時にどこへ行くか、という計画は要らない。

    出店は正直、全国どこの祭りでも見る顔ぶれだ。ただ鮎の塩焼きはあった。木曽川沿いの町なので、これはこの土地のものだと思う。

    五条川の桜

    犬山から車で15分ほどのところに五条川が流れていて、春になると桜並木になる。

    一か所の名所という規模ではない。 犬山から岩倉まで、川沿いにずっと続いている。

    昼も夜も行く。夜はライトアップされて、昼とはまったく別の景色になる。

    面白いのは、こちらは出店よりキッチンカーが多いこと。犬山祭の伝統的な屋台と、桜の下に並ぶキッチンカー。同じ町の近くで、祭りの形がまるで違う。

    泊まるなら、性格の違う3軒がある

    ここが冒頭に書いた「一泊したほうがいい」の中身になる。

    犬山は名古屋から30分なので、日帰りでも成立はする。でもこの町は夜に価値が寄っている。 犬山祭は夜が本番で、五条川も夜桜のほうがいい。そして木曽川沿いの宿からは城が見える。

    私はどれにも泊まっていない。自分にはちょっと手が出ない価格帯だ。ただ、遠くから来る人にとっては話が別だと思うので、書いておく。

    ホテルインディゴ犬山有楽苑は2022年に開業したブティックホテルで、IHGのブランド。ロビーの正面に犬山城が見える。犬山唯一の天然温泉「白帝の湯」があって、そして宿泊者は有楽苑を無料で散策できる。 1,500円の入苑料が宿泊に含まれる形になるので、さっき保留にした話の3つ目の答えがこれだ。名鉄犬山遊園駅から徒歩7分。

    灯屋 迎帆楼は真逆の性格をしている。大正8年創業の犬山最古の老舗宿で、文人墨客の定宿として愛されてきた。それを全室半露天風呂付き・10室限定のスイートとして改装している。犬山城の麓、木曽川沿いにあって、全室から城と川が見える。1泊56,100円から。

    宿-SHUKU- は2025年4月にできた古民家ホテルで、城下町の中にある。練屋棟と下本町棟の2棟に分かれていて、練屋棟はかつて小島醸造の杜氏や職人が働き暮らしていた建物を改修したもの。弁柄の左官壁と剥き出しの梁がそのまま残っている。蔵をまるごと改装したメゾネットの一棟貸しもある。併設の日本料理店「古今」があって、犬山ゆかりの忍冬酒も出る。部屋にテレビと時計を置いていないのが方針らしい。1泊22,130円あたりから。

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    外資系のモダン、100年続く老舗、そして城下町の古民家。同じ町で三択になるというのは、なかなかない。

    なお、この3軒だけだと「高い宿しかない町」に見えてしまうので書いておくと、犬山遊園駅のそばには1泊4,400円台から泊まれる小さなホテルもあるし、犬山駅の西口から徒歩4分のビジネスホテルもある。予算に応じて選べる町ではある。

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    ここから先は、地元が食べているラーメンの話

    観光の話は以上で、ここから先は完全に食べ物の話になる。

    名古屋周辺に滞在するなら、という括りで3店を挙げる。どれも観光客向けの店ではない。地元の人間が普段食べているものだ。

    そして先に白状しておくと、私の舌はかなり大衆的だ。こってり濃厚が好きで、ミシュランに載るような繊細な味はよくわからない。ニンニクを入れると何でも美味しく感じる。その前提で読んでほしい。

    スガキヤ

    東海地方のフードコートには、だいたいスガキヤがある。

    私にとってこれは、ラーメンの原体験そのものだ。豚骨スープに魚と昆布の出汁を合わせた和風とんこつで、小さい頃から食べている。全国どこでラーメンを食べても、無意識にこの味と比べてしまう。

    今も毎月のように食べている。 小さい頃は家族と、途中からは友達と、今はまた家族と。誰と行っても成立する店だ。

    面白い話がひとつある。うちの小学生の子供に、いろんな有名店のラーメンを食べさせている。 それでも本人いわく、結局スガキヤが一番らしい。

    私自身の評価には思い出補正がかかっているので、そこは差し引いて読んでほしい。でも子供に思い出補正はない。日本中の有名店を食べたうえで、それでもスガキヤを選ぶというのは、けっこう強い事実だと思う。

    フードコートを見ていると、他の店よりスガキヤだけ列が長いことがよくある。たぶん理由は2つで、子供は味が好きで、大人は値段で折り合いがついている。

    その値段の話をすると、私が子供の頃は200円台だった記憶がある。もう30年以上前だ。そこから上がり続けて、2022年に330円、2023年に390円、2024年から430円になった。3年連続の値上げで、卵も豚肉も魚介も人件費も上がっているので当然だと思う。

    それでも430円だ。主要なラーメンチェーンの中では、いまだに最も安い部類にいる。

    サイドとデザートは据え置きが続いていて、ソフトクリームは190円のまま。ラーメンとソフトクリームを頼んでも600円台に収まる。あのソフトクリームは味とボリュームと価格の三拍子が揃っていて、いい歳になった今でも普通に食べる。五目ごはんはセットで頼む。

    あと、あのフォークとスプーンが合体した「ラーメンフォーク」。私はあれで麺をすくったことがない。 スープを飲むのに使っている。初代のラーメンフォークは個人で持っていた。

    ラーメン福

    昭和53年創業で、名古屋市内を中心に11店舗。最近は尾張旭店に行った。守山区の店にもよく行く。

    頼み方は決まっていて、普通のラーメンで野菜多め、麺は硬め。

    野菜は無料で山盛りにできる。ただしここに落とし穴があって、山盛りにすると麺にたどり着くまでに時間がかかる。 上から崩しながら食べていくので、麺が待たされる。だから最初から硬めにしておく。これは経験から出した答えだ。

    そして量。野菜のせいで、ライスも餃子も食べる余裕がない。 小食ではないほうだと思うが、それでも入らない。

    卓上には辛味噌ニンニクがあって、これが重要だ。味変で入れるし、野菜と一緒に食べてもいい。あの薬味があるかないかで、この店の印象はだいぶ変わると思う。

    岐阜タンメン

    愛知と岐阜に店が多いので、いろいろな店舗に行っている。

    あっさりした塩ラーメンに見えるのだが、実はニンニクがかなり効いている。豚肉と野菜の旨味に、ニンニクの刺激が乗っている。見た目の透明感から想像するより、情報量の多い味だ。

    辛さは選べる。私は通常より上にしているけれど、3辛でも説明が大げさに感じる。 辛いのが苦手でなければ、表示より一段上げていいと思う。

    卓上には酢もやしがあって、これがおかわり自由。入れるとさっぱりして、量も増える。

    女性のファンが多い印象があるのだが、これはたぶん鍋に近いからじゃないかと思っている。野菜がたっぷり入った塩ベースのスープ。言われてみれば、構造としてほとんど鍋だ。替え玉もできるので、男性が物足りなくなることもない。

    3店に共通していること

    書いていて気づいたのだが、この3店はどれも「卓上で自分で組み立てる」タイプの店だ。

    ラーメン福の辛味噌ニンニク、岐阜タンメンの酢もやしと辛さの段階。スガキヤは卓上でいじるタイプではないけれど、あのラーメンフォークという道具自体が、食べ方を客に委ねている。

    私は博多でも同じことをしている。替え玉が来てから、ラーメンダレを足して、高菜を入れて、ニンニクを加える。一杯目は店の味をそのまま食べて、二杯目から自分の味にする。

    観光地のグルメは「何を食べるか」で紹介されることが多い。でも地元の店は、「どう食べるか」のほうに文化がある気がする。


    冒頭に「一泊したほうがいい」と書いた理由を、最後に書いておく。

    犬山は名古屋から30分なので、半日で回ろうと思えば回れる。城に登って、城下町を歩いて、電車で戻る。それでも成立はする。

    でもこの町のいいところは、だいたい夜に寄っている。 犬山祭は日が落ちてから山車に提灯が灯るし、五条川の桜も夜のほうが景色が変わる。そして木曽川沿いの宿に泊まれば、部屋から国宝の城が見える。日帰りだと、そのどれも手に入らない。

    国宝の城と、国宝の茶室。平日なら混まない城下町。春には川沿いにずっと桜が続いて、4月には提灯を灯した山車が通る。宿は外資系から古民家まで三択ある。

    そして地元の人間は、フードコートで430円のラーメンに並んでいる。

    どうせ通り道なので、一泊だけ寄ってみてもいいと思う。

  • 【岐阜・飛騨】どの季節に訪れても正解がある。高山・白川郷・奥飛騨を巡る通年トラベルガイド

    【岐阜・飛騨】どの季節に訪れても正解がある。高山・白川郷・奥飛騨を巡る通年トラベルガイド

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    白川郷といえば冬、というイメージがあると思う。実際そのとおりで、雪が積もった合掌造りは反則的にきれいだ。私も豪雪の日に閉館ぎりぎりまで粘ったことがある。暗くなってから建物に明かりが灯ると、昼とはまったく別の場所になる。

    ただ、あのあたりは冬だけの場所ではない。春も夏も秋も、それぞれちゃんと別の顔がある。しかも全部、名古屋から車で届く範囲にある。

    というわけで、この記事は季節で切り分けない。四季の飛騨をまとめて並べる。

    高山は、町並みと食べ物の町

    正直に書くと、高山で見るものは古い町並みの周辺にほぼ集中している。そこを歩いたら、あとは食べる時間だ。

    飛騨牛の話をさせてほしい

    まず飛騨牛。これは「岐阜の牛」という程度のものではなくて、きっちり定義のあるブランドだ。

    飛騨牛を名乗れるのは、岐阜県内で14ヶ月以上肥育された黒毛和種で、飛騨牛銘柄推進協議会に登録された農家が育てたもの。そのうえで日本食肉格付協会の枝肉格付で肉質等級3等級以上、歩留等級AまたはBという条件を満たしたものだけだ。基準に届かなかった牛は「飛騨和牛」という別の名前で流通する。同じ岐阜の黒毛和種でも、名乗れるかどうかが分かれる。

    出発点は1981年に兵庫から導入された「安福号」という種雄牛で、今も飛騨牛の父と呼ばれている。1988年に協議会が設立されて県統一銘柄になり、2023年1月にはGI(地理的表示)にも登録された。

    ブランドとしての格が決まったのは2002年だ。岐阜で開かれた第8回全国和牛能力共進会、いわゆる和牛のオリンピックで、飛騨牛は種牛の部の名誉賞(内閣総理大臣賞)と肉牛の部の最優秀枝肉賞という、両方の最高位を同時に獲った。5年後の第9回でも最優秀枝肉賞を取って連覇している。

    ただ、正直に書いておくと近年の全共では宮崎牛と鹿児島黒牛が強い。宮崎牛は4大会連続で内閣総理大臣賞を取っているし、2022年の鹿児島大会では鹿児島黒牛が和牛日本一になった。飛騨牛が今も品評会で日本一、というわけではない。

    それでも飛騨牛が強い理由

    基準の厳しさで並べると、飛騨牛は最上位ではない。

    佐賀牛は肉質4等級以上かつBMS7以上、仙台牛にいたってはA5とB5しか名乗れない。松阪牛は未経産のメスに限定していて、神戸ビーフは但馬牛のうち基準を満たしたものだけ。石垣牛は八重山郡内で20ヶ月以上という縛りがある。どれも門が狭い。

    飛騨牛は3等級以上で、しかも去勢牛も未経産牛も対象にしている。数字だけ見れば緩い。

    でも、これは弱点ではないと思っている。

    年間およそ1万頭が飛騨牛として認定されていて、そのうちA5が3割強を占める。上位の質を保ちながら、量が出る設計になっているわけだ。だから高山の町なかで、串焼きでも握りでも丼でもコロッケでも飛騨牛が食べられる。A5とB5しか名乗れないブランドでは、この値段でこの量は回らない。

    実際、高山市内の焼肉屋に入ろうとしたら、信じられないくらい外国人が並んでいた。二階に上がる階段にまで列ができていて、あれは驚いた。

    和牛が「高くて遠い存在」ではなく、旅行者が普通に手を出せるものとして並んでいる。飛騨牛の本当の強みは、たぶんそこだ。

    朴葉味噌とみたらし団子

    朴葉味噌は、甘辛い味噌を朴の葉ごと焼いてご飯に乗せる。これは危険なくらい進む。

    そしてみたらし団子。飛騨のみたらしは他の土地のものと別物で、醤油味で、甘くない。関東や関西の甘い餡がかかったやつを想像していると、最初の一口で確実にびっくりする。

    食べてみる価値は十分にある。ただ正直に言うと、私は断然甘いほうが好きだ。飛騨で食べるならこれ、という話であって、好みの問題としては甘いみたらしに軍配が上がる。

    飛騨古川と、『君の名は。』

    高山から鉄道で15分ほど北に行くと飛騨古川に着く。ここは「高山の奥座敷」と呼ばれていて、瀬戸川沿いに白壁の土蔵が続く町並みがある。鯉が泳いでいるのは春から秋まで。冬は越冬のために別の池へ移されるので、いない。

    そして、ここは『君の名は。』の聖地だ。

    先に言っておくと、私はあの映画が本当に好きだ。タイタニックを観たとき以来くらいに感動した。RADWIMPSの曲があの物語に完璧に合っていて、音が鳴った瞬間に場面が立ち上がってくる感じがたまらない。

    ただ、聖地について一つ整理しておきたいことがある。三葉が住む糸守町は架空の町で、新海監督自身が「特定の場所はありません」と言っている。糸守湖のモデルとしてよく名前が挙がるのは長野の諏訪湖のほうで、松原湖など複数の風景を合わせた複合モデルだと考えられている。

    じゃあ飛騨古川は何なのかというと、瀧が糸守を探しに来る側の風景だ。こちらは実在の場所が明確に描かれている。JR飛騨古川駅の待合室とホーム、瀧が調べ物をした飛騨市図書館、気多若宮神社。少し北の宮川町落合には、あの個性的な屋根のバス停もある。

    実際に駅に立つと「あ、ここか」となる。私が飛騨古川で撮った写真も、結局ここばかりだ。

    泊まるなら八ツ三館がいい。安政年間の創業で、明治38年に建てられた招月楼、昭和初期の数寄屋造りの光月楼、平成の観月楼という三棟が連なっている。建物そのものが国の登録有形文化財という料亭旅館で、駅から歩いて6分。文化財に泊まれる宿というのは、そう多くない。

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    白川郷は、雪が降った後がいい

    1995年に世界遺産に登録された集落で、合掌造りの中にも入れる。和田家が300円、神田家が400円、明善寺が300円。神田家は屋根裏の構造まで見られるので、外から眺めるだけでは絶対に分からない部分が見える。集落の中にカフェもあるので、寒い日は逃げ込める。

    冬に行くなら、降っている最中よりも、降った後のほうがいい。屋根にきれいに雪が積もって、あの絵になる姿になる。

    ただ、ライトアップは事情が変わった。

    2026年から完全事前予約・入場チケット制になっていて、開催は年に4回だけ。チケットを持っていないと、昼から村にいても夕方には出ないといけない。展望台へ上がる徒歩ルートも16時10分で閉まる。展望台チケットは単体では売っておらず、村内に宿泊するか、展望台チケット付きのバスツアーに参加するしかない。

    ふらっと行って見られるものではなくなった、ということだ。気温は-10℃前後まで下がるので、装備も真剣に考えたほうがいい。

    駐車場の混み方も相当なもので、私が行ったときは観光バスが雪にはまって動けなくなっていた。白川村は今、駐車場の予約サイトと渋滞をリアルタイムで見られるサイトを出している。あの状況を思うと、村側も相当困っていたんだろうなと思う。

    春は、桜の頃にまだ滑れる

    雪が解けはじめると、高山の町並みは一気に歩きやすくなる。白川郷の合掌造りも、雪が消えて周りが緑になると印象がまるで変わる。同じ場所とは思えない。

    そして春のいちばん面白いところは、平地で桜が咲いている時期に、まだゲレンデが開いていることだ。

    高鷲スノーパークは例年4月下旬まで営業していて、3月以降も公式が「まだハイシーズン」と言い張っている。春には山頂にスプリングパークが作られる。標高1,550mの山頂にあるカフェからは、運が良ければ雲海が見える。

    朝に桜を見て、午後に滑る。標高差のある県だからできることで、これは素直に岐阜の得だと思う。

    夏は上高地と、羊に追いかけられる高原

    夏の飛騨は涼しい。そして上高地がある。

    まず知っておくべきこととして、上高地は一年中マイカーで入れない。高山側から行くならあかんだな駐車場、松本側なら沢渡駐車場で、シャトルバスかタクシーに乗り換える。知らずに車で突っ込むと詰む。

    私は高山に泊まって、そこから日帰りで行った。この組み立てはけっこう現実的だと思う。上高地の中の宿は数が限られていて、しかも安くない。

    河童橋は木製の吊り橋で、あそこから見上げる穂高連峰が上高地の顔になっている。梓川の水は驚くほど透明だ。ただし、ここは国立公園であると同時に国の特別名勝・特別天然記念物でもあって、「踏み込まない」というルールがある。遊歩道や木道を外れて河原に降りるのは、それに引っかかる。眺めるだけにしておくのが正解だ。

    そして上高地帝国ホテル。赤い三角屋根に丸太小屋風の外観で、私は最初ペンションか何かだと思っていた。実際は1933年開業の日本初の本格的な山岳リゾートホテルで、泊まると相当な金額になる。

    ただ、泊まらなくても入れる。ロビーラウンジは宿泊者以外も使えて、上高地オリジナルのケーキと、上高地の湧水で淹れたコーヒーが飲める。中央には象徴のマントルピースがあって、寒い時期の夕方5時にはベルマンによる火入れ式まで行われる。日帰りで上高地に来た人が、いちばん贅沢に休憩できる場所だと思う。

    夏の高原といえば、郡上のひるがの高原にある牧歌の里も外せない。夏は動物がたくさんいて、広場では羊に追いかけられる。本当に追いかけられる。子供より大人のほうが焦る。

    秋は新穂高ロープウェイ

    10月、奥飛騨温泉郷にある新穂高ロープウェイに乗った。

    ここは日本で唯一の二階建てゴンドラで、標高2,156mの展望台まで上がる。紅葉の時期は、上のほうが先に色づいて、下がまだ青い。日を変えて乗ると別の景色になるらしい。

    しかも降りたらそこは奥飛騨温泉郷なので、そのまま温泉に入れる。秋の飛騨は、この順番が完璧すぎる。

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    冬は、滑る人と滑らない人で分かれる

    岐阜と長野のスキー場は、たぶんほとんど行っている。私はスノーボードだ。

    いちばんよく行くのは鷲ヶ岳と高鷲スノーパーク。高鷲スノーパークは1999年開業で、西日本最大級。イタリア製の15人乗りゴンドラとハーフパイプ2本があって、ハイシーズンには山頂で隣のダイナランドと行き来できる。

    ひとつ注意しておくと、高鷲スノーパークにナイター営業はない。夜に滑りたいならダイナランドで、あちらは12月下旬から3月下旬まで毎日23時までやっている。

    高鷲・ダイナランド・ひるがの高原・鷲ヶ岳・ホワイトピアたかすの5か所は共通のシーズンパスがある。この一帯、それくらい密集している。

    もうひとつ気づいたことがある。高鷲スノーパークは、日本人が少ない。雪が降らない地域から来ているアジアの人たちのほうが多いんじゃないかと感じるくらいで、白馬やニセコとはまた違った国際色になっている。

    そして滑らない人の話。

    牧歌の里は冬もやっていて、こちらはスキー場ではない。ソリとチューブがメインなので、板を履けない人でも雪で遊べる。冬でも動物とふれあえるし、敷地内に牧歌の湯もある。

    春節の時期に行ったら、台湾からの家族連れで溢れていた。雪が降らない土地の人にとって、雪は滑るものではなく触るものなんだと思う。滑れないと雪山に来られない、というのは完全に思い込みだった。

    ゲレンデの近くにはサウナ付きのしゃれたコテージがいくつもあって、大人数で借りて騒いでいる人たちがいた。宿に気を遣わなくていいので、あれは正解だと思う。

    たぶん、温泉が本題

    先に白状しておくと、私はスーパー銭湯マニアだ。かなりの数を回っている。そのうえで飛騨エリアの温泉を語らせてほしい。

    下呂温泉は、正直に言うと街としては地味だ。派手な観光要素があるわけでもない。ただ、湯がいい。アルカリ性単純温泉でpHは9.18、源泉は84℃。無色透明で匂いもきつくなく、入ると肌がつるつるになるので「美人の湯」と呼ばれている。草津・有馬と並ぶ日本三名泉の一つだ。

    真冬に花火を見たあと、震えながら宿に戻って湯に入った。そのあと外を歩いても、体の芯からポカポカで湯冷めしなかった。あれには本気で感心した。さすが三名泉だと思った。

    その花火というのが「冬の下呂温泉 花火物語」で、1月から3月の毎週土曜、20時半から10分間だけ上がる。下呂大橋の下流、飛騨川の河畔から。毎回テーマが変わるらしく、成人を祝う花火、バレンタイン、合格祈願、桃の節句、旅立ちの花火といった具合に、季節の行事に合わせてくる。

    夏の花火大会の混雑が苦手な人には、こっちのほうが向いている。10分で終わるのも潔い。

    街には湯めぐり手形があって、加盟している旅館の風呂を回れる。泊まらなくても名旅館の湯に入れるので、日帰りでも十分に楽しめる。

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    噴泉池については、書き方に気をつけたい。以前は飛騨川の河原にある露天風呂で、橋の上から丸見えの状態で入れた。今は違う。2021年12月から水着着用が義務化され、入浴自体ができなくなって、現在は足湯として使われている。昔の話として知っておくぶんにはいいが、真似はできない。

    奥飛騨温泉郷は平湯・福地・新平湯・栃尾・新穂高の5つの温泉地の総称で、新穂高ロープウェイもこの中にある。上高地へ向かうときの乗り換え地点でもあるので、通り道として自然に組み込める。

    白骨温泉は住所としては長野県松本市だが、高山ICから車で70分。さわんどバスターミナルで乗り換えれば上高地まで1時間ほどなので、動線としては完全に同じ圏内だ。標高1400mの中部山岳国立公園の中にあって、湯は硫化水素泉。湧き出た時は無色透明で、時間が経つと白く濁る。あの乳白色は、湯が空気に触れた結果だ。

    白骨で有名なのが「泡の湯」の混浴大露天風呂だ。1912年創業で、毎分1,730リットルという長野県内随一の湯量を誇る。混浴と聞くと身構えるかもしれないが、女性用の脱衣所と出入口が別に用意されていて、湯あみ着も置いてある。湯が濁っていて透明度が低いうえ、湯船がとにかく広いので他の客と近づくこともあまりない。日帰り入浴もできる。

    湯温は38℃前後とぬるめで、炭酸ガスを含んでいる。細かい泡が体に付く。ぬる湯なので冬はそれなりに覚悟がいるが、長く浸かっていられるという意味では冬向きとも言える。

    スキー場まわりの温泉も安い。鷲ヶ岳の鷲の湯が500円、ダイナランドに隣接するホテルの日帰り入浴が600円。滑った後にこの値段で入れるのは、正直ありがたい。

    UnsplashのTayawee Supanが撮影した写真のイラスト素材

    車で回るときに知っておきたいこと

    結論から言うと、このエリアは車がないと厳しい。

    高山と白川郷と下呂は公共交通でも繋がっているが、牧歌の里やスキー場まで含めると、バスの時刻に旅程を支配される。私はほとんど車で回っている。

    ただし、いくつか例外と落とし穴がある。

    上高地はマイカーで入れない。高山側はあかんだな駐車場、松本側は沢渡駐車場で乗り換える。これだけは車でもどうにもならない。

    白川郷の駐車場は冬に地獄を見る。観光バスが動けなくなるレベルで混む。村が駐車場の予約サイトと渋滞のリアルタイム確認サイトを出しているので、出発前に見ておいたほうがいい。

    ライトアップは予約なしでは見られない。これは何度でも書いておきたい。

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    いろいろ書いたが、私がいちばん好きなのは、雪が降っている中で入る露天風呂だ。

    熱さが気持ちいいというより、風情のほうだと思う。湯気の向こうに雪が落ちてきて、音がほとんどしない。頭に雪が積もってきて、顔だけ冷たくて、首から下は熱い。

    そして夜だとまたいい。暗い中に雪だけがぼんやり白く見えて、時間の感覚がなくなる。あれのために岐阜の山に通っている、と言ってもいいくらいだ。

    春に桜を見ながら滑れるのも、夏に上高地で涼めるのも、秋に紅葉のロープウェイに乗れるのもいい。でも結局、どの季節に行っても最後は温泉に浸かって終わる。

    どの季節に行っても正解がある、というのはそういう意味だ。

  • 福岡・博多ラーメン食べ歩き:名店を巡って辿り着いた「一蘭・一風堂」最強説

    福岡・博多ラーメン食べ歩き:名店を巡って辿り着いた「一蘭・一風堂」最強説

    博多駅の筑紫口から歩いて数分。角を曲がる前に、もう匂いでわかった。

    博多一双。泡立つスープが「豚骨カプチーノ」と呼ばれている行列店だ。ところが店の前まで来たところで、連れの一人が足を止めた。「ごめん、これは無理かも」。ダクトから流れてくる豚骨の匂いが、その人には完全にアウトだったらしい。結局その人だけ、外で待つことになった。

    福岡には観光地がいくらでもある。太宰府天満宮も、糸島の海も、能古島も、行けばちゃんと楽しい。ただ私がこの街でやっていたのは、朝から晩までとんこつを食べることだった。

    世界的に見れば、福岡はもう「ラーメンの聖地」ということになっている。一蘭と一風堂が世界中に店を構えていて、海外から来た人が空港からまっすぐ博多のラーメン屋に向かう、なんて話も珍しくない。その聖地まで来て神社を回るのも悪くはないのだけど、私はどう考えても麺のほうに用があった。

    なのでこの記事、観光の話はほとんど出てこない。かわりに豚骨の匂いの話がずっと続く。

    ついでに白状しておくと、私の舌はだいぶ大衆的だ。こってり濃厚が正義だと思っているし、ミシュランに載るような繊細な味はよくわからない。食べログの点数もあまり見ない。

    匂いがすごい、王道の豚骨

    博多一双

    2012年にできて、あっという間に博多屈指の行列店になった店。国産豚の骨を三つの寸胴で骨がボロボロになるまで炊いていて、丼一面に浮かぶ泡がそのまま濃厚さの証明みたいになっている。

    で、これがめちゃくちゃうまかった。濃い。本場の豚骨ってこういうことか、と素直に納得した。麺は平打ちの細麺で、濃いスープをよく持ち上げてくれる。

    ただ、臭い。見た目は泡がふわふわしていて妙に上品なのに、匂いのほうは容赦がない。連れが引き返したのも、まあわかる話ではある。私は平気なタイプなので最後まで機嫌よく食べたけれど、これは人を選ぶと思う。

    博多だるま

    こっちは昭和38年創業の老舗。渡辺通にある。鉄の羽釜を使った「呼び戻し」という昔ながらの製法で、スープを継ぎ足しながら炊き続けている。

    そして、こちらもしっかり臭い。

    とはいえこの臭さ、悪口として書いているわけではない。むしろ「本場に来たな」という実感がいちばん濃いのはこの手の店で、東京や名古屋で豚骨を食べていて、ここまで匂いが立つ店にはなかなか出会わない。

    博多らしくない、博多のラーメン

    博多元気一杯!!

    下呉服町にある店。これは完全にマニア向けだと思う。暖簾も看板も出ていないので、外から見ると何かのテナントにしか見えない。営業している日は店先に青いバケツがぶら下がっていて、それが唯一の目印になっている。

    昔は「スープから飲め」「写真は撮るな」みたいな厳しいルールがあったと聞いていたけれど、今は撤廃されていて、中の雰囲気はずいぶんカジュアルだった。

    肝心の味は、正直なところ博多のラーメンらしくなかった。超濃厚な豚骨白湯なのに臭みがなくて、クリーミーで、とろりとした粘度がある。私の感覚だと、コーンスープに麺が入っているみたいな味と食感だった。

    絶賛する人が多いのもわかるし、唯一無二なのは間違いない。ただ、この旅で食べたかった博多の豚骨とは、だいぶ別の場所にある一杯だった。

    ラーメン海鳴 中洲店

    魚介とんこつで有名な店。夕方6時から翌朝6時までやっていて、中洲の締めを一手に引き受けているような一軒だ。とんこつスープにジェノベーゼを合わせた「ラーメンジェノバ」なんていう変化球まである。

    博多の純粋な豚骨からすれば、魚介を混ぜるのは邪道ということになるんだと思う。でもうまい。うまいのだけど、口に入れた瞬間に頭に浮かんだのはスガキヤだった。

    私は東海地方の生まれで、ラーメンの原体験がスガキヤなのだ。豚骨に魚と昆布の出汁を合わせた和風とんこつで、あれを子供の頃からずっと食べている。

    で、これは私だけの錯覚ではなかった。その日は6人で食べていて、たまたま全員が東海地方の出身だったのだけど、誰からともなく「スガキヤっぽくない?」という声が上がった。全員、同じことを考えていたわけだ。

    本場の福岡まで来て、名古屋のチェーンを思い出す。われながらどうかと思うけれど、味覚の原体験というのはそういうものらしい。

    ちなみに海鳴は2026年に東京のお台場へ9号店を出したので、この味は福岡まで来なくても食べられるようになった。

    街に溶けているラーメン

    元祖ラーメン長浜家

    海鳴から歩いてすぐ、上川端町にある。川端通り商店街から中洲に向かう角の店だ。

    ここで先に知っておいたほうがいいのは、この界隈が名前でかなりややこしいということ。大元に「元祖長浜屋」があって、そこを辞めた人が始めた「元祖ラーメン長浜家」があって、さらにそこから独立した人が同じ名前で店を出している。看板の字体も配色も似ていて、片方がもう片方を訴えたこともある。裁判では店名の使用が認められて、今も同じ名前の店が並び立っている。

    観光で来た人間には、正直どれがどれだかわからない。私も、あとから調べるまで自分がどの店に入ったのか自信がなかった。

    味のほうは、長浜系は日本中にあるので目新しさはあまりない。無難な博多系の豚骨で、ちゃんとうまい。ただインパクトは薄い。地元の人が朝でも深夜でもふらっと入れる、生活に溶け込んだラーメンという感じだ。

    博多らーめん ShinShin 天神本店

    屋台から始まった店で、2003年に開業してから県内に何店舗も広がった人気店。長浜とも博多とも違う独自の豚骨を掲げていて、とにかく評価が高い。だから行った。

    うまかった。クセがなくて誰でも飲めるスープで、人気になる理由もよくわかる。

    ただ正直に書くと、一蘭や一風堂を超えるかと言われると、私はそこまでではなかった。

    麺の硬さは、上を狙わなくていい

    博多ラーメンの麺の硬さは、柔らかめ、普通、硬め、バリカタ、ハリガネ、粉落とし、湯気通し、ナマ、という順に硬くなっていく。ナマにいたっては、ほとんどお湯を通さない。

    長浜系だけは体系が違っていて、ナマ、カタ、フツウ、ヤワの4段階。しかも油の量やネギと組み合わせて「ベタナマ」みたいに一言で頼むのが常連の作法になっている。同じ福岡なのに流派で言葉が変わるのは、なかなか面白い。

    私は硬い麺が好きなので、昔はハリガネやナマばかり頼んでいた。ところが、そのたびに後でお腹を壊していた。しばらく原因がわからなかったのだけど、要するに茹で時間が足りない麺は、小麦粉に近い状態のまま胃に入ってくるということらしい。小麦粉のデンプンは加熱して糊化させないと消化酵素が働きにくく、消化不良を起こす。

    私の場合はバリカタくらいまでにしておくと、これが起きない。個人差はかなりあると思うけれど、今はハリガネから上は頼まないことにしている。

    多くの店では、そもそもバリカタがおすすめとして案内されている。初めてならそこに従っておくのが結局いちばんいい。硬いほど通、というわけでもない。

    替え玉は、麺を食べ終わる前に頼む

    一杯目は、あまりいじらない。卓上の薬味は紅ショウガくらい。ただしけっこう多めに入れる。まずはスープと麺そのものを味わいたいので、そこは邪魔したくない。

    すりごまだけは使わない。あれは私の舌にはかなり大きく味を変えてしまうので、一杯目でも替え玉のあとでも入れない。好きな人は多いと思うけれど、私には合わなかった。

    そして替え玉。いちばん大事なのはタイミングで、一杯目の麺を食べ終わる前に頼んでおく。食べ終わってから注文すると茹で上がりを待つ時間が空いて、スープはぬるくなるし勢いも途切れる。博多の細麺は茹で時間が短いぶん、こっちの段取りも早くしないと噛み合わない。

    もうひとつ、スープの配分も考えたほうがいい。最初から飲みすぎると、替え玉の二回目までもたなくなる。一杯目のうまさに任せてぐいぐい飲むと、あとで確実に後悔する。

    替え玉が来てからが味変の時間だ。卓上のラーメンダレを足して濃くして、辛子高菜があれば入れて、ニンニクがあると一気にうまくなる。もっともニンニクを入れると何でもうまく感じてしまうので、これはもう私の舌の問題という気もする。

    ちなみに替え玉というシステム自体は、長浜の元祖長浜屋で生まれたものだ。魚市場で働く人に早く出すために麺を細くしたら、そのぶん伸びるのも早くなった。だったら一杯の麺量を少なくしておかわりできるようにすればいい、という順番でできあがっている。

    屋台には行かなかった

    中洲の屋台は福岡の名物ということになっているけれど、私は結局、眺めただけで入らなかった。

    あそこは歓楽街のど真ん中で、値付けもそれなりに観光客向けだ。それに、アジアを歩いていると屋台は移動と食事の基本装備みたいなもので、屋台そのものに珍しさを感じない。バンコクでもハノイでも台北でも、毎日そういう場所で食べていた。

    雰囲気は確かにいい。ただ、限られた滞在で豚骨を食べられる回数が決まっているなら、私は店に入るほうを選ぶ。

    結局、一蘭と一風堂だった

    福岡で一蘭と一風堂の本店には行かなかった。どこで食べても同じ味なんだから、わざわざ本場で行く理由がない、と思ったからだ。

    そのうえで、さんざん食べ歩いた末に出た結論は、われながら身も蓋もなかった。博多の豚骨は、一蘭と一風堂の二強だと思う。

    理由ははっきりしている。この二つだけが、豚骨特有の臭みを消しているからだ。

    これは私の思い込みではなくて、一蘭は公式に「五つの元祖」というものを掲げていて、その二番目が「臭みのないとんこつスープ」になっている。会社自身が、臭みを消したことを発明として打ち出しているわけだ。

    臭みがないから、老若男女が食べられる。連れが店の前で引き返すこともない。だから全国に広がって、世界にも出ていけた。一双のダクトの前で足を止めたあの人も、一蘭でなら普通に完食したはずだ。

    ついでに言うと、私が卓上でちまちまやっている味の調整を、一蘭は最初から紙の上で片づけている。オーダー用紙で選べるのは、麺のかたさ、出汁、こってり度、チャーシュー、ねぎ、秘伝のたれ、そしてにんにく。あの用紙も「五つの元祖」のひとつだ。私が替え玉のあとでニンニクを足したくなるタイミングを、注文の時点で先回りされている。

    もっとも、チェーン店はどこで食べても味が同じ、というのは私の勝手な前提かもしれない。富士そばみたいに、商品開発部を置かず新商品を各店の店長の裁量に任せていて、「店舗ごとに味が違う」という声への対応まで店舗任せにしている例外もある。あそこは意図的にバラつかせている。それでも豚骨の二強に関しては、どこで食べても同じという印象は最後まで揺らがなかった。

    弱点は価格だ。一風堂の白丸元味が850円台、シンプルなほうで790円台。それに対して長浜系はワンコインから700円くらいで食べられる。本場のローカル店を基準にすると、確実に高い。一蘭は2026年7月から一部店舗で価格が改定されていて、今は店舗ごとに値段が違う状態なので、行く前に確認したほうがいい。

    ただ、この価格差にはちゃんと理由があると思っている。臭みを消して、誰が食べても外さない一杯に仕上げるというのは、たぶんいちばん手間のかかる仕事だ。

    もつ鍋と、海の見える朝

    ラーメン以外に食べたものといえば、中洲のもつ鍋くらい。店の名前は覚えていない。飲んだ流れで入って、うまかった、という記憶だけが残っている。

    泊まったのはヒルトン福岡シーホーク。地行浜にある高層ホテルで、部屋は全室が海側を向いている。深い理由があって選んだわけではなく、なんとなく決めただけだった。外資系だけあってバーの雰囲気はよかったし、朝食のビュッフェもそれなりに豪華な気分になれる。

    ひとつだけ実用的なことを書いておくと、このホテルは最寄りの唐人町駅や西新駅から歩くと20分近くかかる。無料のシャトルバスは出ているけれど、土日祝日の10時から19時までしか走っていない。ラーメンを食べ歩いて夜中に帰ってくるつもりなら、タクシーか、博多バスターミナルから出ているバスのほうが現実的だ。

    臭い店ばかり回った翌朝に、海を見下ろしながらビュッフェを食べる。この落差が、なんだかんだで一番記憶に残っている。

  • 食べログ上位の「淡麗系」が分からない!こってり派が語る首都圏ラーメン名店のリアルな本音

    食べログ上位の「淡麗系」が分からない!こってり派が語る首都圏ラーメン名店のリアルな本音

    飯田商店で、隣にいた友達が「このスープ、やばいね」って言ってた。たしかにスープは激ウマだった。ただ自家製麺がけっこう柔らかめで、これは好みが分かれるタイプだと思う。

    ラーメンには、食べログでずっと上位にいる、あっさりした淡麗系の醤油ってジャンルがある。あれ、いまだによく分からない。まずいという話じゃなくて、単純に拾いきれてない気がする。いろんなジャンルのグルメは好きなほうだけど、ミシュランで語られるような繊細な味までは正直よく分からなくて、わりと大衆的な舌なんだと思う。舌が繊細じゃないのは、たぶん本当にそうなんだろう。

    好きなのは、こってり濃厚なほう。そのなかでも一番はとんこつ。豚骨魚介のつけ麺、二郎系の極太麺、家系、辛味噌。スープが麺に絡みついて、食べ終わったあとに満腹感と少しの後悔が残るような一杯が好きだ。卓上のニンニクも悩みながら結局入れるタイプ。

    ひとつ、前から気になっていることがある。なぜ食べログの上位は、あれほど淡麗系の醤油に偏るのか。

    これは完全に推測だけど、繊細な味を求める層のほうが、熱心にレビューを書いているのかもしれない。逆に自分みたいな大衆的な舌の人間は、わざわざ点数をつけて投稿しない。そういう偏りがあるとすれば、ランキングは「日本人全体の好み」じゃなくて「投稿する人たちの好み」を映していることになる。だとすれば、ランキングを信じすぎるのは危ない。自分がどの系統を好きなのか知っておくほうが、よほど役に立つ。

    首都圏には数え切れないほどラーメン屋があって、それなりの数を食べてきた。ここでは正直に書く。良かった店も、期待したほどじゃなかった店も。


    千葉・神奈川の二大巨頭は、もう「並ぶ店」じゃなくなった

    首都圏のラーメンを語るとき、避けて通れない2軒がある。千葉県松戸市の中華蕎麦 とみ田と、神奈川県湯河原町の飯田商店。

    この2軒には、いま共通する変化が起きている。どちらも、並べば食べられる店ではなくなった。

    中華蕎麦 とみ田(千葉・松戸)

    つけ麺では、ここが一番好きだ。

    行ったときは、**朝7時前から並んで整理券を取った。**早起きして、店の前で待って、指定の時間に戻ってくる。それだけの手間をかけても食べたい一杯だった。

    ただ、今は状況が変わっている。現在の本店はOMAKASEという予約サイトでの事前予約が主流で、毎週火曜日の12:30頃に新しい枠が公開される形式。公開と同時にアクセスが集中して、予約画面にたどり着いても5分のカウントダウンが始まる。完全に争奪戦だ。

    朝8時からの食券兼整理券という方法も残っているらしいけど、確実性を求めるなら予約を狙うことになる。

    とみ田の味がどれだけ影響力を持っているかは、京都に行ったときに実感した。京都の麺屋たけ井は、とみ田で修行した店主の店で、麺もとみ田系列の製麺所のものを使っている。関西であの味に近いものが食べられるくらい、とみ田は一つの基準になっている。

    飯田商店(神奈川・湯河原)

    本店に2回、そしてららぽーと沼津のフードコートにも2回行った。

    食べログの全国ランキングでも常に上位にいる店だ。冒頭で書いた通り、スープは間違いなく美味い。友達が「やばいね」と言っていたのも納得だった。ただ自家製麺がけっこう柔らかめで、自分にはそこまでハマらなかった。これは店の問題というより、麺の食感の好みが分かれるだけだと思う。

    ここからが実用的な話。

    飯田商店の本店は、以前は店の外で長時間並ぶ形式だった。今は全席インターネット事前予約制で、しかもOMAKASEという有料の予約サービスを経由する。予約枠の公開日時が決まっていて、そこで取れなければ食べられない。湯河原という立地もあって、正直、行くハードルはかなり上がった。

    そこでフードコートだ。

    ららぽーと沼津のフードコートに、飯田商店が入っている。2回とも夕方に行ったけど、**まったく並ばなかった。**そして肝心の味だけど、看板の醤油ラーメンに関しては、本店と大きな差は感じなかった。(あくまで個人の感想です。)

    予約を勝ち取る手間と、湯河原までの移動を考えると、フードコートという選択肢はけっこう現実的だと思う。もちろん本店には本店の空気があるので、そこに価値を感じるなら別だけど。


    こってり派のマイベスト、東京編

    麺屋一燈

    **何度も通っている。**目当てはつけ麺。

    濃厚な魚介豚骨のつけ汁で、好みのど真ん中。近くにある系列店のえびつけ麺にも行った。えびの風味が濃く出ていて、これも良かった。

    面白かったのは、バンコクにも支店があったこと。旅行中に探して入ってみた。開店直後に行ったが並んではなかった。東南アジアで日本と同じレベルのつけ麺が出てくるのは、なかなかの体験だった。

    つけ麺を追いかけているうちに、葛飾区にあるつけ麺の道にも行った。都心から少し離れるけど、つけ麺好きなら足を運ぶ価値はある。

    六厘舎

    東京駅のTOKYOラーメンストリートの看板格。

    正直、**かなりレベルが高いと思う。**つけ麺というジャンルで、とみ田と並べて語れる数少ない店のひとつ。東京駅という立地でこの水準を保っているのは、素直にすごい。

    斑鳩も美味しかった。こちらも東京を代表する一杯としてよく名前が挙がる店で、ラーメンストリートの水準の高さを支えている。

    東京駅に行くたびに、ラーメンストリートには顔を出している。移動のついでに寄れるので、旅行者にとっては効率がいい場所だと思う。

    なお東京駅には、ラーメンストリートの外にも店がある。北海道のえびそば一幻もそのひとつ。えびの出汁が強く出た札幌の一杯が、東京駅で食べられる。

    そもそも、全国の名店が東京に集まっている

    これ、意外と見落とされがちだけど、わざわざ現地に行かなくても、たいていの有名チェーンは東京にある。

    福岡の一蘭と一風堂。京都の天下一品、横綱ラーメン、新福菜館。大阪の神座。北海道のえびそば一幻。ご当地ラーメンとして語られる店の多くが、東京に進出している。

    もちろん、本店には本店の空気がある。京都の一乗寺で天下一品の総本店に入る体験は、東京の支店では味わえない。ただ、味そのものを試すだけなら東京で足りる。

    日本各地を回る時間がないなら、東京にいる間に食べ比べてしまうのは、けっこう合理的な選択だと思う。

    ラーメン二郎

    正直に言うと、**二郎そのものが好きというわけじゃない。**大量の野菜も、分厚い豚も、それ自体を目当てに通うタイプじゃない。

    ただ、**二郎系のあの極太麺は好きだ。**小麦の味がしっかりして、噛みごたえがあって、濃いスープに負けない。麺が主役になるラーメンって、そう多くない。二郎系の店に行くのは、あの麺が食べたいからだ。


    期待したほどじゃなかった店も、正直に

    田中商店

    東京のとんこつでは人気の店。ただ、感想としては、一蘭や一風堂のほうがうまいと感じた。

    とんこつは一番好きなジャンルなので、期待して行ったぶん、余計にそう感じたのかもしれない。どちらも全国どころか海外にもある大手チェーンだけど、とんこつという土俵で比べたときに、自分の舌にはチェーンのほうが合っていた。もちろん好みは人それぞれだし、田中商店が一番だという人がいても全然おかしくないと思う。

    蒙古タンメン中本

    辛いラーメンで有名な店。

    食べてみて思ったのは、辛さと熱さが先行して味噌ベースのラーメンとしてのうま味をあまり感じられなかった。辛さのインパクトは確かにあるけど、ラーメンの見た目で味が予測できた印象。辛いのが好きならハマると思う。

    これは書いておきたいんだけど、**セブンイレブンのカップ麺の再現度がかなり高い。**あれで十分、というのが正直なところ。関東に行かないと食べられないのでコンビニで味わえるのは有難い。しかしカップラーメンの北極は辛すぎて食べられませんでした。

    辛味噌ラーメンなら、山形の龍上海が好きだ。辛さと味噌のバランスが取れていて、辛いだけで終わらない、あの真ん中に乗ってる特性ニンニク味噌がたまらない。これは後述するけど、新横浜ラーメン博物館で食べられる。

    しば田・鳥喰

    しば田(東京)は鴨出汁の醤油ベース、鳥喰(神奈川)も淡麗醤油系。

    どちらも評価の高い店だけど、冒頭に書いた通り、この系統の良し悪しは自分にはよく分からない。丁寧に作られているのは伝わってくるんだけど、感動には至らなかった。飯田商店と同じで、これは自分の舌の問題だと思う。

    淡麗系が好きな人にとっては、この2軒はきっと素晴らしい店だ。だから外しているんじゃなくて、語る資格を持っていないという意味で、判断は保留しておく。


    効率よく食べ比べたいなら、この2箇所

    限られた日数で首都圏に来るなら、1箇所で複数店を回れる施設は貴重だ。

    TOKYOラーメンストリート(東京駅)

    東京駅の地下、一番街にある。六厘舎をはじめ、実力のある店が並ぶ。

    新幹線の乗り換えや移動の合間に寄れるのが一番の利点。時間帯によっては並ぶけど、それでも個人店に行くよりはるかに手軽だ。

    新横浜ラーメン博物館(神奈川)

    2回行って、合計4店舗食べた。全国各地の名店が集まっていて、館内は昭和の街並みを再現した空間になっている。

    ここで食べたのが、山形の龍上海。辛味噌ラーメンとして完成度が高くて、好みにはっきり刺さった。札幌のすみれも食べた。こちらは味噌の濃厚さで、北海道に行ったときにも感じた実力そのままだった。

    ミニサイズのラーメンがあるので、1回の訪問で複数店をハシゴできる。これが一番大きい利点だと思う。1軒でお腹いっぱいになる普通のラーメン屋巡りとは、効率がまるで違う。


    並ぶのが嫌なら、取り寄せるという手もある

    ここまで行列と予約の話ばかりしてきたけど、そもそも並ばずに名店の味を食べる方法もある。

    よく使っているのが宅麺.com。全国の行列店のラーメンを、店で出しているスープと麺と具材をそのまま冷凍で送ってくれる通販サイトだ。濃縮じゃなくて、店のスープをそのまま凍らせている点が他の取り寄せと違うところで、作り方の説明書も一杯ごとに付いてくる。

    これが本当に助かるのは、物理的に行けない店。

    たとえば琴平荘。山形県鶴岡市の旅館が、冬の閑散期の集客のために始めた中華そばで、冬季のみ、しかも週末は昼だけの営業。それでも一日500人が訪れると言われている。首都圏から日帰りで行くのは、まず無理だ。宅麺でも入荷通知の登録が1万7千人近く並んでいる状態だった。

    ちなみに琴平荘は淡麗醤油系で、まさに「よく分からない」と言っている系統だ。それでも取り寄せてみるのは、行けない店の味を確かめられるからで、これは店に行くのとはまた別の楽しみだと思っている。でも個人的にこの醤油ラーメンは好き。

    二郎インスパイア系や家系、旨辛系まで揃っているので、こってり派にも十分な品揃えだ。


    首都圏でラーメンを食べるときの実用情報

    **予約制の店が増えている。**とみ田も飯田商店も、かつては並べば食べられた。今はどちらも予約が主流だ。行きたい店がある場合、必ず事前に公式サイトかSNSで最新の入店方法を確認したほうがいい。「行けば食べられるだろう」で行くと、店の前で立ち尽くすことになる。

    **食券機の店が多い。**入口の券売機で先に食券を買って、それを店員に渡す方式。慣れないと戸惑うけど、写真付きのボタンが多いので、迷ったら一番左上か、一番目立つボタン(たいてい看板メニュー)を押せば間違いない。

    **現金は持っておいたほうがいい。**個人経営のラーメン店は、いまだに現金のみという店が少なくない。

    **回転が速い店では、長居しないのがマナー。**特に行列ができている店では、食べ終わったら速やかに席を立つ。首都圏に限らず、日本のラーメン店全般に言えることだ。


    まとめ

    ラーメンの評価は、結局のところ自分の舌で決めるしかない。

    食べログで4点を超える淡麗系の名店に行っても、良さがよく分からなかった。一方で、チェーン店のほうがうまいと感じた店もあった。中本もセブンのカップ麺の再現度が高く、具材は少ないがスープの味は近いと思った。

    これは舌が繊細じゃないからで、別に恥じることでもないと思っている。**大事なのは、自分がどういう系統を好きなのか知っておくこと。**それが分かっていれば、ランキングに振り回されずに、その日食べたい一杯にたどり着ける。

    こってり濃厚が好きなら、天下一品・一蘭・一風堂、つけ麺ならとみ田と六厘舎、一燈。極太麺を食べたいなら二郎系。辛味噌なら山形は遠いのでラーメン博物館の龍上海や、からみそラーメンふくろう。家系は町田商店で十分だと思っている。このあたりから試してみてほしい。

    あっさり系が好きなら、自分が分からなかった飯田商店やしば田こそが、あなたの当たりかもしれない。でも結局ニンニク入れたら全部美味しく感じる私はバカ舌なのかもしれない。

  • 京都は定番外しのグルメ旅が正解、ラーメン激戦区・宇治抹茶と穴場スポット

    京都は定番外しのグルメ旅が正解、ラーメン激戦区・宇治抹茶と穴場スポット

    京都には、20回以上行っています。紅葉の時期も、桜の時期も。

    これだけ通っていると、正直なところ、清水寺や金閣寺の話を今さら書く気にはなりません。あの辺りはすでに散々紹介されていますし、2026年の今は人が多すぎて、落ち着いて見られる場所でもなくなってきました。

    だからこの記事では、京都の別の顔を書きます。ラーメンと、抹茶です。

    日本中を食べ歩いてきた私から見て、京都はかなりのラーメン激戦区です。これは外国から来る人にはまず知られていないと思います。そして宇治の抹茶。世界的な抹茶ブームで価格が高騰している今、本場で食べる意味はむしろ増しています。

    観光地として触れるのは瑠璃光院くらい。あとは、日本人が意外と知らない穴場をひとつ。そんな構成です。


    京都は、日本屈指のラーメン激戦区

    意外に思われるかもしれませんが、京都は全国的に見てもラーメンのレベルが高く、店の数も多い街です。

    有名チェーンの多くが、京都発祥

    まず知っておいてほしいのが、全国区のラーメンチェーンのいくつかは京都で生まれているということです。

    天下一品は1971年、銀閣寺周辺の屋台から始まりました。あのドロッとしたこってりスープの原点は京都です。しかも総本店は、後述する一乗寺にあります。ラーメン横綱も京都発祥。魁力屋もそうです。背脂を浮かせた醤油ラーメンのスタイルは、京都のラーメン文化そのものだと言っていいと思います。

    「京都の食べ物」と聞いて懐石や湯豆腐を思い浮かべる人は多いでしょうが、実際に街を歩けば、ラーメン屋の密度に驚くはずです。

    一乗寺ラーメン街道

    京都のラーメンを語るなら、まず一乗寺です。

    東大路通の高野交差点から北山まで、約1.3kmにわたってラーメン店が軒を連ねています。「一乗寺ラーメン街道」と呼ばれていて、京都随一の激戦区。しかも支店ではなく、名の通った店の本店がここに集まっています。

    ちなみに京都には、深草の師団街道沿いにも「第二のラーメン街道」と呼ばれる一帯があります。店の数だけなら一乗寺より多いくらいです。

    一番のおすすめは「麺屋たけ井」

    京都で一杯だけ選べと言われたら、私は迷わずここを挙げます。

    麺屋たけ井の店主は、千葉県松戸の「中華蕎麦 とみ田」で修行した人です。とみ田といえば、つけ麺で日本一と言われることもある超有名店。松戸の本店は早朝から整理券を取らないと食べられません。

    たけ井のつけ麺は、そのとみ田の味をかなり忠実に受け継いでいます。私の体感では、麺もスープもほとんど同じ。あとで知ったのですが、麺はとみ田が手掛ける製麺所「心の味食品」のものでした。同じ麺を使っているなら、そう感じるのも当然です。

    ここが旅行者にとって大きい。松戸まで行って早朝から並ばなくても、関西であの味が食べられるわけです。しかも京都府内に複数の店舗があり、京都駅にも支店があります。

    ただ、正直に書いておくと、**本店のつけ麺だけはかなり濃い目です。**というより、私には濃すぎました。豚骨魚介の濃度が別格で、途中から重く感じてきます。同じことを言っているレビューも見かけるので、私だけの感覚ではなさそうです。濃厚なつけ麺が好きな人には最高でしょうが、そうでなければ支店のほうが食べやすいかもしれません。

    しかし本店にしかない魚介豚骨ラーメンが、つけ汁をスープ割りしたくらいの濃度に極太麺が絡んで、個人的にはこちらが好きです。

    本店は城陽市にあって、駅からも遠く、昼営業のみ。ハードルは高いです。すぐ近くには俺のラーメン あっぱれ屋という、これも昼だけの人気店があるので、ラーメン好きならハシゴという手もあります。

    あっぱれ屋もかなりの行列でしたが、食べてみて納得しました。東海エリアの元祖和風とんこつ、スガキヤのラーメンに似ていたからです。私にとってスガキヤは、思い出補正と価格の安さから殿堂入りしている存在なので。

    一乗寺で食べるなら

    麺屋 極鶏 「レンゲが立つ」と言われるほど濃厚な鶏白湯です。スープというより、ほぼ固形に近い。天下一品のこってりをさらにドロドロにした感じ、と言えば伝わるでしょうか。一乗寺で今一番人気とも言われています。

    基本的にスープが麺に全部絡みつくので、食べ終わるとほとんどスープが残りません。唐辛子バージョンもありますが、見た目のインパクトの割に、そこまで辛くはありませんでした。

    中華そば 高安 豚骨の白濁スープを22時間かけて作る店です。ラーメンも美味しいのですが、この店の名物はむしろ唐揚げ。とにかく大きい。ラーメンと一緒に頼むと確実に満腹になるので、覚悟して注文してください。

    正直に言うと、そこまでではなかった店

    せっかくなので、こちらも書いておきます。

    新福菜館と第一旭は、京都駅近くのたかばしに隣同士で並んでいる有名店です。行列も絶えません。ただ、私が食べた限りでは、正直なところ特に感動はしませんでした。まずいわけではないのですが、行列に並んでまでという気持ちにはならなかった。京都ラーメンの歴史を体感する意味では価値があると思うので、そういう目的なら行く価値はあります。

    無鉄砲も食べました。とんこつがどろどろ過ぎて、店名の通り無鉄砲過ぎるなと。極鶏とはまた違う方向の濃さです。こういうのが好きな人には刺さるはずです。

    旅行者は、優先順位を考えたほうがいい

    限られた日程で京都に来るなら、これは考えておいたほうがいいと思います。

    **個人店は基本的に一店舗しかないので、行列は覚悟が必要です。**極鶏、高安、たけ井本店、あっぱれ屋あたりは並びます。営業時間が短い店も多い。

    一方で、天下一品と横綱は全国チェーンです。京都で食べれば「発祥の地で食べた」という付加価値はありますが、味そのものは他の県でも食べられます。総本店に行くこと自体に意味を感じるなら別ですが、そうでなければ、旅行中の貴重な一食を使う相手としては優先度を下げてもいいかもしれません。

    余談ですが、私は天下一品がかなり好きです。それだけに、せっかく友達を総本店まで連れて行ったのに、五目ラーメンを注文されたときはショックでした。

    **現金の用意も忘れずに。**ラーメン店は食券機の店が多く、現金のみというところも珍しくありません。カードや電子マネーが使えない前提で動いたほうが安全です。


    世界的ブームの裏で、本場の宇治抹茶を

    私は仕事の関係で、宇治には年に2、3回ほど通っていました。その合間に、抹茶スイーツを食べるのが楽しみでした。

    抹茶が、いま世界的に取り合いになっている

    ここ数年で状況が大きく変わりました。

    **2025年の粉末状茶(抹茶を含む)の輸出額は603億円。**前年の271億円から2倍以上になりました。静岡の茶商が「世界中で抹茶の取り合いになっている」と語るほどで、価格は3〜4倍に上がったとも言われています。

    宇治も例外ではありません。2026年の一番茶では、手摘みの宇治てん茶が1kgあたり52,086円と、前年比20.2%の上昇。しかも生産量自体は増えているのに、単価が下がらない。それだけ需要が供給を上回っているということです。京都の飲食店のメニューから「宇治茶」の表記が消え始めているという報道もありました。

    つまり、**本場で本物の抹茶を食べる価値は、以前より上がっています。**海外のカフェで飲む甘い抹茶ラテとは、まったく別のものです。

    辻利の抹茶パフェ

    宇治で私が行くのは辻利です。ここの抹茶パフェが好きで、宇治に行くたびに食べていました。

    抹茶スイーツというと、抹茶「風味」で終わっているものも多いのですが、本場のものは苦味がきちんと立っています。甘さの奥に、茶の渋みと旨みがある。パフェとして甘いのに、最後まで抹茶の味が消えない。これは現地で食べないと分からない部分だと思います。

    宇治は京都駅からJRで20分ほど。半日あれば往復できるので、京都市内の混雑に疲れたら足を伸ばしてみてください。

    お土産に買うなら、北山の抹茶フォンダンショコラ

    食べるだけでなく、持ち帰るならこれをおすすめします。マールブランシュの「生茶の菓」です。

    京都北山に本店がある洋菓子店で、抹茶のラングドシャ「茶の菓」のほうが有名かもしれません。ただ私が推したいのは、その”生”のほう。お濃茶フォンダンショコラです。

    **必ず冷やして食べてください。**冷蔵庫で1時間ほど冷やすと、生チョコレートケーキのような口溶けになります。濃茶の苦味とホワイトチョコの甘みが溶け合って、かなり濃厚。小さいのに、ひとつで十分な満足感があります。

    お土産として優秀なのは、個包装で、生菓子の割に日持ちがすること。3個入りから箱のサイズも選べます。京都駅にも店舗があるので、帰りがけに買えるのも便利です。

    湯葉や豆腐は、どうなのか

    京都といえば湯葉や豆腐、という話もあります。私も祇園と南禅寺周辺で、格式のありそうな料亭のような店に入りました。

    雰囲気は確かに素晴らしいです。庭を眺めながら、静かな座敷で食事をする体験は、京都でしかできません。

    ただ、正直に言うと、**外国から来た人にはあまり刺さらないのではないかと思います。**味が繊細すぎて、日本人でも「上品だけど物足りない」と感じる人はいるでしょう。値段も相応にします。

    限られた予算と胃袋を京都でどう使うかと考えたとき、私は**抹茶スイーツのほうをおすすめします。**分かりやすく美味しくて、価格も手頃で、しかも今しか味わえない希少性がある。


    定番を外した絶景、瑠璃光院

    観光地でひとつだけ挙げるなら、瑠璃光院です。

    「そうだ 京都、行こう。」でおなじみの、黒塗りの机にモミジが映り込むあの絶景。八瀬という、市街地から少し離れた比叡山の麓にあります。

    私が行ったのは新緑の季節でした。青モミジが机の漆に反射して、床にも映り込んで、どこまでが実景でどこからが反射なのか分からなくなる。写真を撮りましたが、実際に目で見たときの奥行きは、写真では伝わりきりません。

    紅葉の時期はもちろん美しいのですが、その分とんでもなく混みます。**青モミジの新緑の時期のほうが、人も少なく落ち着いて見られます。**座敷で足を伸ばして庭園をゆっくり眺めていると、マイナスイオンが溢れているようで、とても癒されました。個人的にはこちらをおすすめします。

    注意点として、**瑠璃光院は通年公開ではありません。**春・夏・秋の特別拝観期間のみです。行く前に必ず公式サイトで公開期間を確認してください。

    アクセスは、出町柳から叡山電車で八瀬比叡山口駅へ。駅から徒歩10分ちょっとです。


    日本人が意外と知らない、嵐山の猿

    最後に、穴場をひとつ。

    渡月橋のある嵐山。あの橋の南側から山を20分ほど登ったところに、嵐山モンキーパークいわたやまという公園があります。約120頭のニホンザルが、柵なしで暮らしています。

    面白いのは、**餌をあげるときの構図です。人間のほうが金網の小屋に入り、外にいる猿に餌を渡す。**普通の動物園と逆です。この光景が受けているようで、私が行ったときも、客はほとんど外国人でした。

    実際、来園者の8割が外国人だというデータもあります。欧米やオーストラリアには野生の猿がいないので、特に珍しいのだそうです。日本人観光客には、むしろ知られていない。

    山頂の餌場は展望台も兼ねていて、京都市内が一望できます。入園料は大人550円。

    ひとつだけ注意を。**20分の登りは、思っているよりしんどいです。**石段と山道なので、ヒールやサンダルでは無理です。スニーカーで行ってください。あと、猿と目を合わせないこと。攻撃的になることがあります。


    2026年の京都で、知っておきたいこと

    **宿泊税が上がりました。**2026年3月1日から、京都市の宿泊税が5段階に変わっています。1泊6,000円以上2万円未満なら400円、2万円以上5万円未満で1,000円、5万円以上10万円未満で4,000円、10万円以上だと10,000円です。高価格帯ほど負担が重くなったので、宿を選ぶときは頭に入れておいてください。

    **混雑は覚悟が必要です。**特に桜と紅葉の時期、そして主要観光地の周辺は、想像以上に人が多いです。この記事で紹介した一乗寺や宇治は、定番エリアと比べればずっと落ち着いています。

    **現金は必ず持っておいてください。**ラーメン店をはじめ、個人経営の店では現金のみというところがまだ多いです。


    まとめ

    京都は、定番をなぞるだけの街ではありません。

    ラーメン激戦区としての顔は、外国から来る人にはほとんど知られていないと思います。一乗寺に行けば、名店の本店が1.3kmの間にずらりと並んでいる。麺屋たけ井に行けば、松戸で並ばずにとみ田の味が食べられる。

    宇治に足を伸ばせば、世界中が取り合っている抹茶を、本場で当たり前のように食べられます。

    そして、新緑の瑠璃光院と、外国人ばかりの猿山。

    清水寺も金閣寺も素晴らしい場所です。ただ、20回も通っていると、京都の面白さは別のところにあると感じるようになりました。この記事が、そういう京都を見つけるきっかけになれば嬉しいです。

  • 北海道旅行は季節で決まる!夏・冬の違いとエリア別観光・宿の正直レビュー

    北海道旅行は季節で決まる!夏・冬の違いとエリア別観光・宿の正直レビュー

    ※この記事はアフェリエイトリンクを含みます。

    北海道には、これまで5回ほど行きました。暑がりなので夏に行くことが多いのですが、冬にも足を運んでいます。

    そして毎回思うのは、北海道は季節によってまったく別の場所になる、ということです。

    夏は涼しい風とラベンダー、青い池、どこまでも続く直線道路。冬は一面の雪と温泉、そしてスキー。同じ地名を目指していても、見えるものも、やることも、必要な持ち物さえ変わります。「北海道に行きたい」と思ったとき、まず決めるべきは行き先ではなく季節かもしれません。

    この記事では、実際に回ってきた小樽・札幌・函館・ニセコ・美瑛・富良野・旭川を中心に、どこで何が良かったか、どこに泊まると気持ちよく過ごせるかを、正直にまとめます。


    夏か冬か。北海道は季節で別の旅になる

    夏(6〜9月) 本州が茹だるような暑さの時期に、北海道は驚くほど涼しい。ラベンダーが咲くのは7月中旬あたりが中心で、この時期の富良野は絵のような景色になります。ドライブが最高に気持ちいいのも夏です。

    冬(12〜3月) 雪が降らない国から来る人や、スキーが目的の人には、断然こちらでしょう。ニセコのパウダースノーは世界的に知られていますし、2月には札幌の雪まつりもあります。ただ、寒さと雪道は本州の感覚とは別物なので、装備と移動手段の準備は必要です。

    暑がりの私は自然と夏が多くなりましたが、どちらが良いという話ではなく、まったく違う旅として考えたほうがいいと思います。


    移動手段は、季節で答えが変わる

    北海道は面積が広く、都市と都市の距離が本州の感覚とはまるで違います。地図上で近く見えても、車で2時間3時間は普通にかかります。

    夏はレンタカーが快適 距離は長いのですが、都市間は直線の道路が多く、実際に走ってみると思ったほど疲れませんでした。本州の山道をひたすら曲がりながら走るのとは、疲労感がまったく違います。周りの景色も広いので、移動そのものが楽しい時間になります。札幌市内だけなら地下鉄で足りますが、それ以外に足を伸ばすなら車があったほうがいいです。

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    冬の運転はおすすめしません アイスバーンとホワイトアウトは、雪道に慣れていない人には本当に危険です。「気をつければ大丈夫」という類のものではないので、雪道の運転経験がなければ、JRやバスツアーを使うほうが安全で、結果的に楽しめます。

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    エリア別の見どころと、泊まってよかった宿

    新千歳空港を起点にした、現実的な順番で並べます。

    札幌・定山渓

    北海道旅行の拠点になる街です。食事の選択肢が圧倒的に多く、夜はすすきのの歓楽街も楽しい。

    夜景は藻岩山ロープウェイ 函館まで足を伸ばせない日程なら、札幌の藻岩山からの夜景でも十分にきれいです。市街地の広がりが一望できて、これはこれで見応えがあります。

    ONSEN RYOKAN 由縁 札幌 札幌の中心部にありながら、登別のカルルス温泉から運んできた源泉の露天風呂に入れる宿です。大通駅から歩いて10分足らずという立地で温泉に浸かれるのは、なかなか他にありません。街歩きと温泉を両立させたい人に向いています。

    グランドブリッセンホテル定山渓 札幌から車で50分ほど、渓谷沿いに温泉宿が並ぶ定山渓温泉。ここに泊まりました。2021年開業と比較的新しく、全室が渓谷向き。ほとんどの部屋に展望温泉が付いているので、部屋にいながら渓谷を眺めて湯に浸かれます。

    車がない人にも使いやすくて、JR札幌駅北口から無料の送迎バスが毎日出ています(事前予約制)。札幌の街の賑わいから少し離れて静かに過ごしたいなら、いい選択肢だと思います。

    小樽

    運河の景観で有名な街ですが、正直に言うと、私にとってのハイライトは運河ではありません。

    ルタオのチーズケーキ 小樽といえば、これです。チーズケーキが好きなので何度も食べていますが、現地で食べる味は格別でした。お土産にも定番なので、旅の終わりに買って帰るのもいいと思います。札幌から日帰りできる距離なので、半日あれば十分回れます。

    ニセコ

    冬のスキーで世界的に知られたエリアです。海外からの旅行者が多く、日本にいるとは思えない国際的な雰囲気があります。

    スキー場に直結したリゾートホテルが揃っているのが、このエリアの強みです。朝起きてそのままゲレンデに出られる環境は、スキーが目的ならこれ以上ないでしょう。夏は避暑地として静かに過ごせます。

    ただ、正直に書いておくと、ニセコの宿は私には手が出ません。 海外からの需要でホテルの価格帯が上がっていて、この記事で紹介している他の宿とは桁が違います。海外から来る人にとっては、自国の同等クラスのスキーリゾートと比べれば納得できる金額なのだと思いますが、日本国内の感覚で見ると、なかなか厳しい。

    なので、スキーが目的でないなら、無理にニセコに泊まる必要はないと思います。逆に、パウダースノー目当てで来るなら、ここは日本で最も評価されている場所のひとつなので、その価値はあります。

    函館

    日本三大夜景と言われるだけあって、函館山からの夜景は本当に素晴らしかったです。写真で見るのと実際に見るのとでは、まったく違います。

    ラッキーピエロ 函館に行くなら、ここは外せません。ご当地ハンバーガーチェーンなのですが、面白いのは函館と近郊にしか店がないこと。全国展開も札幌進出もせず、道南だけで17店舗を構えています。だから「函館に行かないと食べられない」。

    私が入ったのは、赤レンガ倉庫のそばにあるベイエリア本店でした。ここは1号店で、テーマは「森の中のメリーゴーランド」。ブランコがあったので、つい乗ってしまいました。店舗ごとにテーマと内装がまったく違うので、複数の店を回る楽しみ方をしている人もいるようです。

    看板メニューはチャイニーズチキンバーガー。甘辛いタレの絡んだ大きな唐揚げがレタスと一緒に挟まっていて、ボリュームがすごい。地元では「チャイチキ」と呼ばれています。

    正直な感想を書くと、私は普通のアメリカンなハンバーガーのほうが好みでした。唐揚げが挟まっているので、ハンバーガーというより中華風のサンドイッチに近い印象です。ただ、これは好みの問題で、美味しくないという話ではありません。函館でしか食べられないものとして、一度は試す価値があると思います。ハンバーガー以外にもカレーやオムライス、焼きそばまであるので、好みが分かれるグループでも困りません。

    ただ、札幌からはかなり距離があります。日程に余裕がないと厳しいので、そこは正直なところ。もし行けるなら、あの夜景のために時間を割く価値はあると思います。逆に難しければ、前述の藻岩山で代替できます。

    旭川

    道北の拠点になる街で、富良野や美瑛にも出やすい位置にあります。

    旭山動物園 施設そのものは古いのですが、見せ方が本当によく考えられています。動物の動きや生態が一番よく見える角度に、通路や水槽が設計されている。だから迫力が違います。大人が行っても十分に面白いです。

    OMO7旭川 星野リゾートのOMOブランドで、旭川駅から徒歩10分ほど。星野リゾートというと手が届かない印象があるかもしれませんが、OMOは価格帯がずっと現実的です。街歩きの拠点として使いやすく、旭山動物園にも行きやすい立地でした。

    美瑛・富良野

    夏の北海道を代表する景色が、このエリアに集まっています。

    青い池(美瑛) 神秘的な水色をした池です。「青い」というより、見たことのない色をしていました。天気や時間で表情が変わるので、写真を撮る人には特に楽しい場所だと思います。

    富良野のラベンダー 7月の富良野は、丘一面が紫に染まって本当にきれいです。ただし、渋滞は必至です。有名な農園の周辺は車が動かなくなるので、時間には余裕を持ってください。

    個人的に一番楽しかったのは、バギー 花畑や自然の中を、自分でバギーを運転して走るアクティビティがあります。これが想像以上に楽しかった。景色を眺めるだけでなく、自分で操作して駆け抜ける感覚は、旅の記憶にしっかり残ります。渋滞にうんざりしていた気分も吹き飛びました。

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    星野リゾート トマム

    道央の山の中にある、大きなリゾートです。

    夏に行きましたが、敷地内だけで子供が一日中楽しく過ごせる工夫がたくさんありました。ウォーターパークや自然の中のアクティビティが揃っていて、外に出かけなくても成立します。

    そして雲海テラス。早朝、ゴンドラで山を上がった先から見る雲海の眺めは、素晴らしいの一言でした。雲海は自然現象なので必ず見られるわけではありませんが、あの景色のために早起きする価値はあります。


    北海道の食は、外さない

    ラーメン

    北海道といえば味噌ラーメンが主流です。すみれ、その系譜の彩未、えび出汁のえびそば一幻、信玄あたりが有名どころ。どこも個性があって、はしごしたくなります。

    一方で、旭川の山頭火は豚骨ベースです。同じ北海道でも土地によってラーメンの系統が違うので、その違いを楽しむのも面白いと思います。

    スープカレー

    札幌発祥のスープカレーも、北海道で食べておきたいものです。GARAKU、SUAGE、奥芝商店あたりが定番。素揚げした野菜がごろごろ入っていて、スパイスの効いたスープと合わせると、他では食べられない一皿になります。

    宿の朝食ビュッフェは、意外と重要

    北海道で宿を選ぶとき、朝食は必ず確認したほうがいいです。

    海鮮の食べ放題が付いている宿がけっこうあって、イクラや新鮮な魚介を朝から好きなだけ食べられます。外で海鮮丼を食べれば数千円かかることを考えると、朝食込みの宿泊料金は結果的にかなりお得になります。宿の価格だけを比べるのではなく、朝食の内容まで含めて検討すると、満足度が変わってきます。


    宿選びで、これだけは

    北海道は夏でもかなり涼しいです。日中は快適でも、朝晩は羽織るものが必要なくらい。だから、季節を問わず温泉のある宿をおすすめします。

    私が泊まった宿は、どこも温泉がありました。一日歩き回ったあとや、長距離を運転したあとに温泉に入れるかどうかで、翌日の体の軽さが違います。冬はもちろん、夏でも同じです。

    価格帯については、星野リゾートの「星のや」のような憧れの宿もありますが、正直なところ気軽に手が出る金額ではありません。一方で、同じ星野リゾートでもOMOやトマムは現実的な価格で、しっかりリゾート気分を味わえます。背伸びをすれば届く範囲で、いい宿は十分にあります。

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    まとめ

    北海道は、行くたびに別の顔を見せてくれる場所でした。

    夏なら、涼しい風の中をドライブして、ラベンダーと青い池を見て、バギーで丘を走る。冬なら、雪の世界とパウダースノー、そして温泉。どちらを選んでも、食事は間違いなく美味しい。

    距離は長いですが、道はまっすぐです。欲張らずにエリアを絞って、温泉のある宿を取る。それだけで、北海道の旅はかなり満足度の高いものになると思います。

    行き先と季節が決まったら、あとは足の確保です。北海道は本州からだと飛行機が基本になるので、航空券だけを取るか、宿とセットのパックにするかで金額がだいぶ変わります。

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  • 失敗しない沖縄リゾートホテルの選び方|目的・エリア別おすすめ宿泊ガイド

    失敗しない沖縄リゾートホテルの選び方|目的・エリア別おすすめ宿泊ガイド

    ※本記事はアフェリエイトリンクを含みます

    沖縄のリゾートホテルは、数え切れないほどあります。どれも公式サイトを見れば美しく、料金を見ればそれなりに高い。だからこそ、選ぶのが難しい。

    私はこれまで、沖縄本島と離島でいくつかのリゾートに泊まってきました。ほとんど毎年のように通い、家族と、友人と、あるいは二人で。子連れで賑やかに過ごした年もあれば、静かに過ごした年もあります。そのなかで感じたのは、「どのホテルが一番いいか」よりも「誰と、どんな旅をしたいか」で選ぶといい、ということでした。

    たとえば星野リゾートの「星のや」は、メディアでよく見かける憧れの存在ですが、正直なところ気軽に手を出せる価格ではありません。かといって、同じ星野リゾートでも「OMO」のようなカジュアルなブランドでは、せっかくの沖縄でゴージャスな気分は味わいにくい。この記事で紹介したいのは、その中間です。憧れの高級リゾートのような雰囲気を、背伸びをすれば届く価格で味わえるホテル。ローシーズンでも一泊5万円を超えるようなセレブ向けの一群は、あえて外しています。

    立地とサービスと価格のバランスが取れた、現実的に泊まれるリゾートを、実際に泊まった感想と、まだ泊まっていないけれど気になっているホテルを交えて、エリア別に並べます。


    ホテル選びで見ておきたい3つのこと

    具体的なホテルの話に入る前に、泊まってきて「ここは事前に見ておくといい」と感じたポイントを3つだけ。

    1. 海の見え方 オーシャンビューと一口に言っても、部屋から海までの距離、視界を遮るものの有無、朝日か夕日かで、印象はだいぶ変わります。部屋のどこにいても海を感じられると、それだけで満足度が上がります。

    海の見え方・3つの基本ランク

    部屋のタイプ実際の見え方価格帯
    オーシャンフロント窓の真正面が海。手前に遮るものが一切ない最も高い
    オーシャンビュー部屋から海が見える(手前に庭などがある場合も)中間
    パーシャルオーシャンビュー建物の隙間やバルコニーから海の一部が見える比較的安い

    失敗しないためのコツ 大きなリゾートホテルで確実にきれいな海を見たいけれど、オーシャンフロントは高すぎる……という場合は、**「高層階(ハイフロア)のオーシャンビュー」**を選ぶのが鉄則です。階数が上がるだけで手前の木々や建物を飛び越えるため、海がきれいに見渡せる確率がグッと上がります。

    2. 過ごし方に合っているか プールで一日中遊びたい家族と、静かに海を眺めていたい人とでは、合うホテルが正反対です。アクティビティが充実した賑やかなリゾートなのか、落ち着いた雰囲気なのか。ここを取り違えると、滞在がちぐはぐになります。

    3. 移動のしやすさ どんなに良いホテルでも、那覇空港から遠いと、着く頃には疲れています。逆に離島のリゾートなら、送迎だけで完結するかどうかが効いてきます。レンタカーを借りるかどうかで、選ぶべきホテルが変わります。


    エリア別・沖縄のリゾートホテル

    本島を北から南へ、そのあと離島へと紹介していきます。実際に泊まったところはその感想を、まだ泊まっていないところは気になっている理由を、それぞれ添えました。

    【本島北部・恩納村・名護・本部】海とホテルが最も充実したエリア

    沖縄のリゾートホテルが一番集まっているのが、恩納村から名護、本部にかけての西海岸です。私が泊まったホテルも、このエリアに多く集中しています。

    ザ・ブセナテラス(名護) ハワイの老舗リゾートのような、落ち着いた雰囲気のホテルでした。印象に残っているのは、隣のブセナビーチの夕方。ホテルからサックスの生演奏が流れてきて、夕日の中で聴くその音は、なかなか他では味わえません。記念日やカップルの滞在に似合う雰囲気です。

    HIYORIオーシャンリゾート沖縄(恩納村) 全室オーシャンビューで、コンドミニアムのような造りです。ホテルというより「沖縄で数日暮らす」感覚に近くて、連泊してもゆったりできました。キッチン付きの部屋もあるので、家族や長めの滞在にも使いやすいと思います。

    ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート(恩納村) 万座毛を望むロケーションで、ビーチもマリンアクティビティも充実しています。子連れでもカップルでも過ごしやすくて、誰と行っても外さない安定感がありました。

    オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ(名護) やんばるの森と海に囲まれた、開放感のあるリゾートです。クラブラウンジが快適で、のんびり過ごしたいときに合っていました。派手さはありませんが、静かに過ごしたい人には居心地がいいと思います。

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    ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄(恩納村) 橋で渡る「島」がまるごとリゾートになっていて、その立地自体が非日常でした。プールエリアが海とつながっているように見えて開放感があり、子供も大人も楽しめます。リゾート感をしっかり味わいたいなら、満足度は高いはずです。

    ハレクラニ沖縄(恩納村) ここはまだ泊まっていませんが、気になっています。一休のランキングでも常に上位にいて、円安が続くなか「ハワイに行く代わりの沖縄」として人気です。ハワイのハレクラニが恩納村に来た、というだけで期待してしまう。決して安くはないものの、ハワイに行く費用を考えれば、背伸びをすれば届きそうな範囲です。憧れつつ、次の候補として狙っています。

    余談ですが、同じハワイの名門であるカハラは、沖縄ではなく横浜に来ました。私は横浜のカハラには泊まったのですが、なぜ横浜だったのかは今でもよく分かりません。ハワイの二大ブランドの進出先が分かれたのは、ちょっと面白いところです。

    オリオンホテル モトブ リゾート&スパ(本部) これも気になっているホテルです。美ら海水族館から徒歩7分という立地が抜群で、全室50㎡以上のオーシャンビュー。目の前にはエメラルドビーチ、正面には伊江島が見えます。天然温泉や、オリオンビールが楽しめるバーもあります。美ら海やフクギ並木をじっくり楽しみたい人には、これ以上ない拠点でしょう。リゾートの割にレストランや自販機の価格が良心的という評判もあって、コスパの面でも気になっています。ジャングリア沖縄のオフィシャルホテルでもあるので、あわせて行くにも便利そうです。

    【本島中部・読谷・北谷】アクティビティと利便性のエリア

    グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート(読谷村) 気になっているホテルのひとつ。2024年にリニューアルして、大きな流れるプールや本格的なウォータースライダーなど、プール設備がかなり充実しました。それでいて料金は設備の割にリーズナブルで、県内最大級のプールとオールインクルーシブが売りです。コストパフォーマンスは今の沖縄でも際立っています。

    私がまだ行っていないのは、単純に子供の年齢の問題です。これだけ本格的なスライダーは、もう少し大きくならないと怖がってしまうので、タイミングを待っているところ。逆に言えば、小学生くらいのお子さんがいる家族には、今ちょうど楽しめるホテルだと思います。

    北谷エリアのリゾート 北谷は、美浜アメリカンビレッジの賑わいと海が近い、便利なエリアです。ここでは2軒に泊まりました。恩納村のような大自然の中のリゾートとは違って、ショッピングや食事に歩いて出かけられるのが利点です。観光もグルメも楽しみたい人、レンタカーであちこち動きたい人には、この立地が合います。逆に「リゾートにこもって静かに過ごしたい」なら、恩納村や離島の方が向いていると思います。

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    【本島南部・糸満】空港から一番近いリゾートエリア

    琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ(糸満市) ここもまだ泊まっていませんが、次の候補として気になっています。2022年開業で、本島南部では最大級のリゾート。全443室がオーシャンビュー、県内でも大きめの6種類のプールがあって、目の前には1.8kmの白砂ビーチが続きます。魅力は何より、那覇空港から車で約20分という近さ。北の恩納村まで走らなくても、着いてすぐリゾートに入れます。空港直通のリムジンバスもあるので、レンタカーを借りない人にも向いています。南部はこれまでリゾートが少ないエリアでしたが、この1軒でだいぶ選択肢が変わりました。

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    【石垣島・小浜島】離島ならではの自然と静けさ

    ANAインターコンチネンタル石垣リゾート(石垣島) サービスが安定していて、石垣島の中でも過ごしやすいホテルでした。空港からのアクセスも良く、石垣を拠点に竹富や小浜など離島めぐりをするときの起点としても便利です。

    フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ(石垣島) 琉球赤瓦のヴィラが並ぶ、敷地の広いリゾートです。石垣島の夕日の名所でもあって、サンセットは格別でした。広々してのんびりできる反面、敷地内の移動が少し多いので、そこは好みが分かれるかもしれません。

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    はいむるぶし(小浜島) 小浜島の、静かなリゾートです。夜は光が少なくて、星がよく見えます。街の喧騒から完全に離れたい人には、ぴったりの環境でした。石垣島から高速船で渡る、その距離感そのものが非日常です。ただ、島には店が少ないので、リゾート内で完結する過ごし方が前提になります。

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    【宮古島】プールのように透き通る海を望むエリア

    宮古島は、私が沖縄でいちばん海がきれいだと感じた島です。以前はコテージのような宿に泊まったのですが、店が少ないぶん、ドライブに出ないと時間を持て余しました。次に行くならリゾートでゆっくりしたいと思っていて、いくつか候補を挙げています。

    ホテル シギラミラージュ 宮古島南岸に広がるシギラリゾート内の、モダンなラグジュアリーホテルです。高層階からのオーシャンビューが評判で、宮古島の青い海と空をパノラマで見渡せます。鉄板焼きやシーフードなど、ホテル内のダイニングのクオリティも高いようです。リゾート内に温泉やアクティビティも揃っているので、ここに滞在するだけで完結できそうなのが魅力です。

    シギラベイサイドスイート アラマンダ 同じシギラリゾート内にある、全室スイート仕様のホテルです。敷地内のラグーンにウミガメが泳いでいて、ホテルから一歩も出ずに過ごせるのが売り。記念日やハネムーンで、静かにおこもりステイをしたい人に向いていそうです。少し贅沢寄りですが、宮古島でのんびり過ごすなら候補に入れたい一軒です。

    宮古島来間リゾート シーウッドホテル(来間島) 宮古島と橋でつながる来間島にある、ヴィラとホテル棟からなる広大なリゾートです。「暮らすように滞在する」がテーマで、集落のような造り。来間島は宮古島本島より灯りが少ないので、星空がとてもきれいに見えるそうです。プライベートプール付きのヴィラもあって、静かに過ごしたい人に良さそうです。

    キャノピー by ヒルトン沖縄宮古島リゾート ヒルトンのライフスタイルブランド「キャノピー」の、アジア太平洋で初めてのリゾートです。宮古島の自然や地域文化を取り入れた、活気のあるデザインが特徴。格式張らないカジュアルな雰囲気で、若い世代や友人同士の旅、アクティブに動きたい人に合いそうです。伊良部大橋や市街地へのアクセスも良く、観光やグルメの拠点にも使えます。新しくできたばかりなので、設備の新しさも魅力です。

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    目的別に選ぶなら

    ここまでのホテルを、目的別に整理します。旅のスタイルに近いものから見てみてください。

    子連れ・プールやアクティビティ重視なら ハイアットリージェンシー瀬良垣、ANAインターコンチネンタル万座ビーチ、グランドメルキュール残波岬。プールや海遊びが充実していて、子供も飽きません。ただしグランドメルキュールの本格スライダーは、お子さんの年齢を見て。

    カップル・記念日で静かに過ごすなら ザ・ブセナテラス、オリエンタルホテル沖縄、はいむるぶし、シギラベイサイドスイート アラマンダ。特にブセナテラスの夕日とサックスは、二人の旅に似合います。

    街も海も楽しみたいなら 北谷エリアのリゾート。ショッピングも食事も、歩いて楽しめます。

    美ら海水族館を楽しみたいなら オリオンホテル モトブ。水族館まで徒歩7分の立地は、他にありません。

    空港から近く、移動で疲れたくないなら 琉球ホテル&リゾート名城ビーチ。那覇空港から車で20分、リムジンバスもあります。

    とにかく静かに過ごしたいなら はいむるぶし(小浜島)、来間リゾート シーウッドホテル。離島の静けさと星空は、本島では味わえません。

    きれいな海を存分に味わいたいなら 宮古島のリゾート。海の透明度は、私が行った中では宮古島が随一でした。

    コスパ重視なら グランドメルキュール残波岬、オリオンホテル モトブ。設備や立地の割に、価格が手頃です。


    レンタカーなしでも泊まれる?

    沖縄のリゾートは基本的にレンタカーがあると便利ですが、運転しない人もいると思います。

    空港からのアクセスが楽なホテルとしては、名城ビーチ(那覇空港からリムジンバス直通)が、レンタカーなしでも成立します。オリオンモトブも那覇空港から直行の高速バスが出ています。離島のリゾート(はいむるぶし、フサキ、ANA石垣、宮古島の各ホテル)も、港や空港からの送迎やホテルバスが整っているので、島内で車を借りなくても、リゾート内で完結する滞在なら問題ありません。

    逆に、恩納村や名護のリゾートは、周辺の観光やレストランに出かけるならレンタカーがあった方が快適です。ホテルにこもるだけなら送迎でも足りますが、あちこち回りたいなら車を借りるのをおすすめします。


    まとめ

    沖縄のリゾートホテル選びは、スペックだけでは決まりません。最後は、誰とどんな旅をしたいかだと思います。

    子供と思い切り遊びたいなら、プールの充実したリゾート。夕日とサックスに浸りたいなら、ブセナテラス。離島の静けさに沈みたいなら、はいむるぶし。きれいな海を求めるなら、宮古島。空港から一直線でリゾートに入りたいなら、名城ビーチ。

    同じ沖縄でも、選ぶホテルで旅はずいぶん変わります。この記事が、次の一軒を選ぶ助けになれば嬉しいです。

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  • 【2026年最新】沖縄旅行 完全モデルガイド|33カ国を旅した私がたどり着いた「大人の沖縄」の過ごし方

    【2026年最新】沖縄旅行 完全モデルガイド|33カ国を旅した私がたどり着いた「大人の沖縄」の過ごし方

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    沖縄には、何度も足を運んできました。ほとんど毎年のように、レンタカーを借りて、家族と、あるいは友人やカップルで。そして毎回、同じ結論にたどり着きます。

    沖縄は「詰め込む場所」ではなく、「引き算する場所」だと。

    考えてみれば、これほど恵まれた海はそう近くにありません。日本国内からも、台湾からも、飛行機でおよそ2時間。三連休を使うか、土日に有休を1日足すだけで、透き通った海とゴージャスなリゾートに手が届いてしまう。わざわざ遠くの南国まで飛ばなくても、この距離に沖縄がある。それ自体が、ひとつの贅沢だと思います。

    どの島の海が本当に美しかったか。いつ行くべきで、いつ避けるべきか。実際に泊まってきたリゾートホテルの記憶とともに、沖縄の全体像をお伝えします。


    なぜ、大人こそ沖縄なのか

    いくつもの南国リゾートを見てきましたが、沖縄の価値は「静けさ」にあると感じています。

    タイやバリのビーチタウンには、夜になると独特の熱気が立ち上がり昼と夜ではまったく違う景色になります。それはそれで旅の醍醐味なのですが、家族連れで訪れると、少し身構える瞬間があるのも事実です。沖縄のリゾートエリアには、その種の喧騒がありません。夜、子どもと手をつないでホテルの外に出ても、緊張しなくていい。この安心感は、想像以上に旅の質を左右します。

    一方で、静かなだけの島でもありません。友人と行くなら、海を見下ろすバーベキュー場「コージービーチクラブ」や「リゾートマジック」で、日が暮れるまで騒げます。夜は国際通りへ。飲み屋は無数にあり、三線の沖縄ライブを聴かせる居酒屋も点在しています。

    つまり沖縄は、同じ島でありながら、誰と行くかで表情を変える。そこが面白いところです。


    ベストシーズンは「夏ではない」

    これは声を大にしてお伝えしたいところです。

    7月から9月はハイシーズンです。しかしこの時期、リゾートホテルの料金は平気で倍以上に跳ね上がります。そして何より、台風シーズンと完全に重なります。

    台風に当たった沖縄旅行と、晴れた沖縄旅行は、天と地ほど違います。海に入れず、島に渡れず、ホテルの部屋から灰色の空を眺めて終わる。それだけの金額を払って。

    私は幸い、直撃に遭ったことがありません。運が良かったのではなく、時期をずらしてきたからです。

    私が勧めるのは、3〜4月と10〜11月。 海開き期間中で、台風のリスクが低く、料金も落ち着いています。5月上旬から6月下旬にかけては沖縄の梅雨なので、ここは外します。3〜4月はまだ水温が低めなので、泳ぐことより「景色と過ごしやすさ」を求める旅に向いています。

    夏の厳しさは、身をもって知っています。7月に竹富島を自転車で回ったときは、汗だくで倒れそうになりました。あの島を、あの時期に、自転車で。子ども連れには絶対に勧められません。


    王道は「2泊3日」で十分

    何度も行き着いた、私の定番の型があります。

    1泊目:那覇 市内観光と買い物。国際通り、DFS、そして首里城。

    2泊目:中部か北部のリゾート ここでようやく、旅が「休息」に変わります。

    これだけです。沖縄は詰め込もうとすると、移動時間ばかりが増えていきます。2泊3日で、那覇1泊+リゾート1泊。この配分が、いちばん満足度が高い。

    離島と組み合わせるなら、本島1泊+離島2泊。離島に主役を譲る形です。

    2026年の首里城について 2019年の火災から復元が進み、2025年10月に工事を覆っていた素屋根が撤去されました。現在は約6年ぶりに、鮮やかな正殿の外観を見ることができます。内部の一般公開は2026年秋の予定。つまり今は、「完成した外観」と「まだ入れない内部」という、この時期にしか出会えない首里城です。城のすぐそばには、名店として知られる首里そばもあります。じゅーしーも美味しい。


    海を求めるなら、離島へ。そして宮古島へ

    正直なところを書きます。

    沖縄本島の海も、本州の海と比べれば十分に美しい。けれど、離島を知ってしまうと、話が変わります。

    私が最も美しいと感じたのは、宮古島です。

    離島でいちばん栄えているのは石垣島です。でも海の透明度と青さでは、宮古島が断然上でした。石垣の名所である川平湾は、たしかに絶景ですが遊泳禁止です。眺めるだけの海と、飛び込める海。私が癒されたのは、後者でした。

    前浜ビーチの白さ。そして伊良部大橋。橋を渡っていると、左にも右にも青のコントラストが広がっていて、島に着いてしまうのがもったいないほどでした。あれは、行かないとわからない類のものです。

    潜ったときは、巨大なプールと見間違えるほどの透明度でした。魚もはっきり見えます。私はアドバンスまで持っていますが、宮古島の海に関して言えば、ライセンスがなくても体験ダイビングで十分に楽しめます。それくらい、透明度そのものが主役の海です。ただし、天候にはかなり左右されます。潜らずとも、シュノーケルだけでも報われる海です。

    宮古島で泊まるなら、リゾートホテルを。 石垣島に比べると、宮古島は飲食店がかなり少ない島です。私はコテージのような宿に3泊しましたが、レンタカーでドライブに出ないと時間を持て余しました。最初から海の見えるリゾートに滞在して、動かずに過ごす。それが宮古島の正解だと、後になって気づきました。次に行くときは、そうします。

    本島から日帰りで、美しい海に会いたいなら 慶良間諸島への日帰りを勧めます。水納島も、船ですぐの距離です。

    波照間のように美しい離島は他にもありますが、「素敵なリゾートホテルがある島」となると、選択肢はぐっと絞られます。

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    泊まってきたリゾートと、これから泊まりたいリゾート

    これまで宿泊したのは、北谷のリゾート2軒、HIYORIオーシャンリゾート沖縄、ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート、ザ・ブセナテラス、オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ、ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄、そして石垣島ではフサキビーチリゾートとANAインターコンチネンタル石垣リゾートの2軒、小浜島のはいむるぶし。

    とりわけ記憶に残っているのは、ブセナビーチの夕方です。

    隣接するブセナテラスから、毎日サックスの生演奏が流れてきます。サンセットの光の中、砂浜にいると、その音だけが聞こえてくる。誰かと来ているなら、これ以上ない時間になります。

    まだ泊まれていない、気になっている2軒

    ハレクラニ沖縄は、一休のランキングでも常に上位にいます。円安と物価高でハワイが遠くなった今、ハレクラニは独り勝ちの様相です。オフシーズンでも1泊5万円は下らないでしょうが、ハワイに行くことを考えれば、むしろ割安に思えてきます。

    (余談ですが、同じハワイの名門であるカハラは、沖縄ではなく横浜に来ました。私はカハラ横浜にも泊まりましたが、なぜ横浜だったのか、今でも腑に落ちていません)

    琉球ホテル&リゾート 名城ビーチは、2022年7月に糸満市に開業した、本島南部最大のリゾートです。全443室がオーシャンビュー、県内最大級の6種のプール、目の前には1.8km続く天然の白砂ビーチ。那覇空港から車で約20分という距離が効いていて、北まで走らなくてもリゾートに沈み込めます。

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    食と、遊びと、正直な感想

    沖縄そばは、どこで食べても美味しい

    ラーメンには一家言あるつもりで、本島の有名な沖縄そばを10軒ほど食べ歩きました。結論として、ベースは豚骨と鰹節、分厚い角煮のような三枚肉とかまぼこ、アクセントは紅ショウガと刻みネギは基本で、店によって劇的な差はあまりありません。魚介と豚骨のWスープは小さい頃からいつも食べてた大好きな東海地方のソウルフード、スガキヤを思い出させる。(今もよく行きますが)

    これは悪口ではなく、朗報です。行列に並ばなくても、目についた店に入れば、だいたい美味しい。私は途中でコーレーグース(島とうがらし)を入れて、味を全部壊すのが好きです。

    A&Wと、サロンパスの味

    日本でA&Wが食べられるのは沖縄だけです。行くと必ずルートビアを頼みます。あの味を説明するなら、サロンパスです。それでも頼んでしまうのが、A&Wの不思議なところです。

    ステーキ、ハンバーガー、タコス、タコライス。沖縄のアメリカは、食に色濃く残っています。

    ジャングリアは、一度で足りる

    2025年に北部に開業したテーマパークです。行ってみて思ったのは、一度行けば十分だということ。子どもも「一回でいいかな」と言っていました。

    もし行くなら、暑い時期は避けてください。そして台風が来たら、何もできなくなります。

    宮古島の夏フェス

    宮古島では、島のロックフェス「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL(通称・宮ロック)」に足を運びました。ケツメイシ、MONGOL800、HY、ORANGE RANGE、BEGIN。真夏の島で、沖縄のアーティストと本土のアーティストが並ぶ光景は、ここでしか成立しないものでした。ステージとの距離も近くビール片手に盛り上がれます。

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    実用情報:レンタカー、支払い、台風

    レンタカーは、本島も離島も基本的にあったほうがいい。 ただし例外があります。離島のリゾートホテルにこもるだけなら、空港リムジンバス、ホテルの送迎、タクシーで足ります。実際、名城ビーチのように那覇空港からの直通リムジンバスを運行しているホテルもあります。

    台風対策の本質は、「当たらない時期を選ぶこと」です。 保険や補償の話をする前に、まず3〜4月か10〜11月を選ぶ。それが最も確実です。それでも夏に行くなら、航空券とホテルのキャンセル規定を予約前に必ず確認してください。

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    まとめ:沖縄で「引き算」をする

    沖縄は、行けば行くほどシンプルになる場所でした。

    那覇で1泊、リゾートで1泊。それだけでいい。海を見たいなら、宮古島へ。時間がなければ、慶良間へ日帰り。夏は避けて、春か秋に。

    いくつもの南国リゾートを見てきて、それでも沖縄に戻ってくるのは、あの島に「何もしない時間」を許してくれる空気があるからだと思います。しかも、飛行機でたった2時間の場所に。ブセナビーチに落ちる夕日と、どこからか流れてくるサックスの音。あれを思い出すたびに、また予約をしてしまうのです。

    次はハレクラニか、名城ビーチか。あるいは、宮古島のリゾートでゆっくりしたい。

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