タイに初めて降り立ったのは大学生の頃だった。当時はスワンナプーム空港はまだなく、ドンムアン空港のみだった。今でもドンムアン空港はエアアジアなどLCCの拠点として機能している。空港を出て真っ先に向かった先が、世界中のバックパッカーが集まる聖地カオサンロードだった。
あれから20年以上が経った今も、カオサンロードはバンコクに来るたびについ立ち寄ってしまう場所だ。昔の思い出補正が強すぎるのかもしれないが、あの雰囲気はやはり特別だ。
カオサンロードとは
「カオサン」はタイ語で「白米」を意味する。19世紀頃は大きな米市場だったが、1980年代から地元の人が空き部屋を外国人旅行者に安く貸し出すようになり、徐々に安宿街として発展した。
1990年代から2000年代にかけて格安ゲストハウス・屋台・旅行代理店が密集し「ここに来れば旅のすべてが揃う」場所になった。レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」(2000年)の舞台になったことで、バックパッカーの聖地としての地位が世界的なものになった。

昔のカオサンロード
スマホも流通していない時代、バンコクにはインターネットカフェが街中に溢れていた。カオサンロードに行けば安宿が密集していて、空いていれば予約など必要なかった。シングルで150バーツ、ドミトリーで100バーツ程度だった。
メインロードには安宿・土産物屋・マッサージ店・旅行代理店・屋台・タトゥーショップなどあらゆるものがゴチャゴチャに詰め込まれ、様々な人種が溢れかえっていた。
裏カオサンの魅力
メインロードの一本横には「裏カオサン」と呼ばれる通りがあり、イスラエル人宿や日本人宿も多くあった。10バーツのフルーツシェイクや、タイ風ラーメン(バーミーナム)が一杯10バーツで食べられた。量は少なくお世辞にも綺麗とは言えなかったが、それがまた旅の醍醐味だった。
カオサンの喧騒を避けたい人は
メインロードからチャオプラヤー川方面へ向かう途中の寺院エリアの安宿が人気だった。静かな環境でゆっくり過ごしたいバックパッカーが集まっていた。
沈没旅行者が続出した
世界中の旅人がカオサンを拠点に他の国へ旅立っていったが、あまりの居心地の良さに長期間動けなくなる「沈没旅行者」が後を絶たなかった。カンボジア・ベトナム・ラオスなど陸路で周遊するバックパッカーも多く、カオサンはそのハブだった。
今のカオサンロード
いまでは誰もがスマホを持ち歩く時代になり、インターネットカフェや旅行代理店は姿を消した。かつてのバックパッカーの聖地のイメージも薄まり、安宿もあるが綺麗なホテルも増え、おしゃれなカフェも多くなった。海外からの旅行者だけでなく、SNS用の写真を撮るタイの若者も多く見かけるようになった。
昼と夜で全く別の顔を持つ
昼間はカフェやバーでゆっくりお酒を飲んでまったりしている旅行者が多い。しかし夜になると雰囲気は一変する。野外パーティのようにクラブ状態になり、欧米人がお酒を飲んで大騒ぎする。お酒と音楽が好きで羽目を外したい人には最高の雰囲気だ。

カオサン周辺のおすすめエリア
寺院エリア(チャオプラヤー川方面) カオサンロードからチャオプラヤー川方面へ向かう寺院エリアは落ち着いたムードで静かに過ごせる。おしゃれなカフェやレストランに加えて屋台も多く、欧米人向けメニューも充実している。チャオプラヤー川のボート乗り場も近いので王宮エリアなどの観光にも便利だ。

ランブトリ通り カオサンロードの1本隣の通り。大音量の音楽はなく、木漏れ日の中のテラス席が並ぶ落ち着いた雰囲気で「昔のカオサン」の空気を少し残している。
ホテル選びの注意点
メインロードに近いホテルは夜の騒音で眠れない可能性がある。静かに過ごしたい人はカオサンロードから寺院エリア方面のホテルを選ぶことをおすすめする。
アクセス方法
カオサンロード周辺にはBTSや地下鉄の駅がない。他のエリアへの移動はGrabなどの配車アプリが便利だ。
チャオプラヤー川のボートを使う方法もある。BTSサパーンタクシン駅直結のサトーン船着場から船に乗り、プラアーチット船着場で下船して徒歩約10分で到着できる。風情があっておすすめだ。
注意点
大麻について タイでは一時大麻が合法化されカオサンにも販売店が乱立したが、現在は規制強化の方向へ動いている。日本の大麻取締法は国外犯処罰規定が適用されるため、日本人は海外であっても絶対に手を出してはいけない。
スリ・ぼったくり 人混みが激しいため夜間は特にスマートフォンや財布の管理を徹底すること。「王宮は今日休みだから別の寺に連れて行く」と声をかけてくるトゥクトゥクの客引きは詐欺の定番なので無視して歩き続けよう。
まとめ
昔の雑多でディープなバックパッカーの聖地から、今や世界中の旅行者とタイの若者が集まるパーティーストリートへと変貌したカオサンロード。時代は変わっても、ここには不思議な引力がある。タイに来たら一度は立ち寄ってほしい場所だ。

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