飯田商店で、隣にいた友達が「このスープ、やばいね」って言ってた。たしかにスープは激ウマだった。ただ自家製麺がけっこう柔らかめで、これは好みが分かれるタイプだと思う。
ラーメンには、食べログでずっと上位にいる、あっさりした淡麗系の醤油ってジャンルがある。あれ、いまだによく分からない。まずいという話じゃなくて、単純に拾いきれてない気がする。いろんなジャンルのグルメは好きなほうだけど、ミシュランで語られるような繊細な味までは正直よく分からなくて、わりと大衆的な舌なんだと思う。舌が繊細じゃないのは、たぶん本当にそうなんだろう。
好きなのは、こってり濃厚なほう。そのなかでも一番はとんこつ。豚骨魚介のつけ麺、二郎系の極太麺、家系、辛味噌。スープが麺に絡みついて、食べ終わったあとに満腹感と少しの後悔が残るような一杯が好きだ。卓上のニンニクも悩みながら結局入れるタイプ。
ひとつ、前から気になっていることがある。なぜ食べログの上位は、あれほど淡麗系の醤油に偏るのか。
これは完全に推測だけど、繊細な味を求める層のほうが、熱心にレビューを書いているのかもしれない。逆に自分みたいな大衆的な舌の人間は、わざわざ点数をつけて投稿しない。そういう偏りがあるとすれば、ランキングは「日本人全体の好み」じゃなくて「投稿する人たちの好み」を映していることになる。だとすれば、ランキングを信じすぎるのは危ない。自分がどの系統を好きなのか知っておくほうが、よほど役に立つ。
首都圏には数え切れないほどラーメン屋があって、それなりの数を食べてきた。ここでは正直に書く。良かった店も、期待したほどじゃなかった店も。
千葉・神奈川の二大巨頭は、もう「並ぶ店」じゃなくなった
首都圏のラーメンを語るとき、避けて通れない2軒がある。千葉県松戸市の中華蕎麦 とみ田と、神奈川県湯河原町の飯田商店。
この2軒には、いま共通する変化が起きている。どちらも、並べば食べられる店ではなくなった。
中華蕎麦 とみ田(千葉・松戸)
つけ麺では、ここが一番好きだ。
行ったときは、**朝7時前から並んで整理券を取った。**早起きして、店の前で待って、指定の時間に戻ってくる。それだけの手間をかけても食べたい一杯だった。
ただ、今は状況が変わっている。現在の本店はOMAKASEという予約サイトでの事前予約が主流で、毎週火曜日の12:30頃に新しい枠が公開される形式。公開と同時にアクセスが集中して、予約画面にたどり着いても5分のカウントダウンが始まる。完全に争奪戦だ。
朝8時からの食券兼整理券という方法も残っているらしいけど、確実性を求めるなら予約を狙うことになる。
とみ田の味がどれだけ影響力を持っているかは、京都に行ったときに実感した。京都の麺屋たけ井は、とみ田で修行した店主の店で、麺もとみ田系列の製麺所のものを使っている。関西であの味に近いものが食べられるくらい、とみ田は一つの基準になっている。
飯田商店(神奈川・湯河原)
本店に2回、そしてららぽーと沼津のフードコートにも2回行った。
食べログの全国ランキングでも常に上位にいる店だ。冒頭で書いた通り、スープは間違いなく美味い。友達が「やばいね」と言っていたのも納得だった。ただ自家製麺がけっこう柔らかめで、自分にはそこまでハマらなかった。これは店の問題というより、麺の食感の好みが分かれるだけだと思う。

ここからが実用的な話。
飯田商店の本店は、以前は店の外で長時間並ぶ形式だった。今は全席インターネット事前予約制で、しかもOMAKASEという有料の予約サービスを経由する。予約枠の公開日時が決まっていて、そこで取れなければ食べられない。湯河原という立地もあって、正直、行くハードルはかなり上がった。
そこでフードコートだ。
ららぽーと沼津のフードコートに、飯田商店が入っている。2回とも夕方に行ったけど、**まったく並ばなかった。**そして肝心の味だけど、看板の醤油ラーメンに関しては、本店と大きな差は感じなかった。(あくまで個人の感想です。)
予約を勝ち取る手間と、湯河原までの移動を考えると、フードコートという選択肢はけっこう現実的だと思う。もちろん本店には本店の空気があるので、そこに価値を感じるなら別だけど。
こってり派のマイベスト、東京編
麺屋一燈
**何度も通っている。**目当てはつけ麺。
濃厚な魚介豚骨のつけ汁で、好みのど真ん中。近くにある系列店のえびつけ麺にも行った。えびの風味が濃く出ていて、これも良かった。
面白かったのは、バンコクにも支店があったこと。旅行中に探して入ってみた。開店直後に行ったが並んではなかった。東南アジアで日本と同じレベルのつけ麺が出てくるのは、なかなかの体験だった。
つけ麺を追いかけているうちに、葛飾区にあるつけ麺の道にも行った。都心から少し離れるけど、つけ麺好きなら足を運ぶ価値はある。

六厘舎
東京駅のTOKYOラーメンストリートの看板格。
正直、**かなりレベルが高いと思う。**つけ麺というジャンルで、とみ田と並べて語れる数少ない店のひとつ。東京駅という立地でこの水準を保っているのは、素直にすごい。
斑鳩も美味しかった。こちらも東京を代表する一杯としてよく名前が挙がる店で、ラーメンストリートの水準の高さを支えている。
東京駅に行くたびに、ラーメンストリートには顔を出している。移動のついでに寄れるので、旅行者にとっては効率がいい場所だと思う。
なお東京駅には、ラーメンストリートの外にも店がある。北海道のえびそば一幻もそのひとつ。えびの出汁が強く出た札幌の一杯が、東京駅で食べられる。

そもそも、全国の名店が東京に集まっている
これ、意外と見落とされがちだけど、わざわざ現地に行かなくても、たいていの有名チェーンは東京にある。
福岡の一蘭と一風堂。京都の天下一品、横綱ラーメン、新福菜館。大阪の神座。北海道のえびそば一幻。ご当地ラーメンとして語られる店の多くが、東京に進出している。
もちろん、本店には本店の空気がある。京都の一乗寺で天下一品の総本店に入る体験は、東京の支店では味わえない。ただ、味そのものを試すだけなら東京で足りる。
日本各地を回る時間がないなら、東京にいる間に食べ比べてしまうのは、けっこう合理的な選択だと思う。
ラーメン二郎
正直に言うと、**二郎そのものが好きというわけじゃない。**大量の野菜も、分厚い豚も、それ自体を目当てに通うタイプじゃない。
ただ、**二郎系のあの極太麺は好きだ。**小麦の味がしっかりして、噛みごたえがあって、濃いスープに負けない。麺が主役になるラーメンって、そう多くない。二郎系の店に行くのは、あの麺が食べたいからだ。

期待したほどじゃなかった店も、正直に
田中商店
東京のとんこつでは人気の店。ただ、感想としては、一蘭や一風堂のほうがうまいと感じた。
とんこつは一番好きなジャンルなので、期待して行ったぶん、余計にそう感じたのかもしれない。どちらも全国どころか海外にもある大手チェーンだけど、とんこつという土俵で比べたときに、自分の舌にはチェーンのほうが合っていた。もちろん好みは人それぞれだし、田中商店が一番だという人がいても全然おかしくないと思う。
蒙古タンメン中本
辛いラーメンで有名な店。
食べてみて思ったのは、辛さと熱さが先行して味噌ベースのラーメンとしてのうま味をあまり感じられなかった。辛さのインパクトは確かにあるけど、ラーメンの見た目で味が予測できた印象。辛いのが好きならハマると思う。

これは書いておきたいんだけど、**セブンイレブンのカップ麺の再現度がかなり高い。**あれで十分、というのが正直なところ。関東に行かないと食べられないのでコンビニで味わえるのは有難い。しかしカップラーメンの北極は辛すぎて食べられませんでした。
辛味噌ラーメンなら、山形の龍上海が好きだ。辛さと味噌のバランスが取れていて、辛いだけで終わらない、あの真ん中に乗ってる特性ニンニク味噌がたまらない。これは後述するけど、新横浜ラーメン博物館で食べられる。
しば田・鳥喰
しば田(東京)は鴨出汁の醤油ベース、鳥喰(神奈川)も淡麗醤油系。
どちらも評価の高い店だけど、冒頭に書いた通り、この系統の良し悪しは自分にはよく分からない。丁寧に作られているのは伝わってくるんだけど、感動には至らなかった。飯田商店と同じで、これは自分の舌の問題だと思う。
淡麗系が好きな人にとっては、この2軒はきっと素晴らしい店だ。だから外しているんじゃなくて、語る資格を持っていないという意味で、判断は保留しておく。
効率よく食べ比べたいなら、この2箇所
限られた日数で首都圏に来るなら、1箇所で複数店を回れる施設は貴重だ。
TOKYOラーメンストリート(東京駅)
東京駅の地下、一番街にある。六厘舎をはじめ、実力のある店が並ぶ。
新幹線の乗り換えや移動の合間に寄れるのが一番の利点。時間帯によっては並ぶけど、それでも個人店に行くよりはるかに手軽だ。
新横浜ラーメン博物館(神奈川)
2回行って、合計4店舗食べた。全国各地の名店が集まっていて、館内は昭和の街並みを再現した空間になっている。
ここで食べたのが、山形の龍上海。辛味噌ラーメンとして完成度が高くて、好みにはっきり刺さった。札幌のすみれも食べた。こちらは味噌の濃厚さで、北海道に行ったときにも感じた実力そのままだった。

ミニサイズのラーメンがあるので、1回の訪問で複数店をハシゴできる。これが一番大きい利点だと思う。1軒でお腹いっぱいになる普通のラーメン屋巡りとは、効率がまるで違う。
並ぶのが嫌なら、取り寄せるという手もある
ここまで行列と予約の話ばかりしてきたけど、そもそも並ばずに名店の味を食べる方法もある。
よく使っているのが宅麺.com。全国の行列店のラーメンを、店で出しているスープと麺と具材をそのまま冷凍で送ってくれる通販サイトだ。濃縮じゃなくて、店のスープをそのまま凍らせている点が他の取り寄せと違うところで、作り方の説明書も一杯ごとに付いてくる。
これが本当に助かるのは、物理的に行けない店。
たとえば琴平荘。山形県鶴岡市の旅館が、冬の閑散期の集客のために始めた中華そばで、冬季のみ、しかも週末は昼だけの営業。それでも一日500人が訪れると言われている。首都圏から日帰りで行くのは、まず無理だ。宅麺でも入荷通知の登録が1万7千人近く並んでいる状態だった。
ちなみに琴平荘は淡麗醤油系で、まさに「よく分からない」と言っている系統だ。それでも取り寄せてみるのは、行けない店の味を確かめられるからで、これは店に行くのとはまた別の楽しみだと思っている。でも個人的にこの醤油ラーメンは好き。
二郎インスパイア系や家系、旨辛系まで揃っているので、こってり派にも十分な品揃えだ。
首都圏でラーメンを食べるときの実用情報
**予約制の店が増えている。**とみ田も飯田商店も、かつては並べば食べられた。今はどちらも予約が主流だ。行きたい店がある場合、必ず事前に公式サイトかSNSで最新の入店方法を確認したほうがいい。「行けば食べられるだろう」で行くと、店の前で立ち尽くすことになる。
**食券機の店が多い。**入口の券売機で先に食券を買って、それを店員に渡す方式。慣れないと戸惑うけど、写真付きのボタンが多いので、迷ったら一番左上か、一番目立つボタン(たいてい看板メニュー)を押せば間違いない。
**現金は持っておいたほうがいい。**個人経営のラーメン店は、いまだに現金のみという店が少なくない。
**回転が速い店では、長居しないのがマナー。**特に行列ができている店では、食べ終わったら速やかに席を立つ。首都圏に限らず、日本のラーメン店全般に言えることだ。
まとめ
ラーメンの評価は、結局のところ自分の舌で決めるしかない。
食べログで4点を超える淡麗系の名店に行っても、良さがよく分からなかった。一方で、チェーン店のほうがうまいと感じた店もあった。中本もセブンのカップ麺の再現度が高く、具材は少ないがスープの味は近いと思った。
これは舌が繊細じゃないからで、別に恥じることでもないと思っている。**大事なのは、自分がどういう系統を好きなのか知っておくこと。**それが分かっていれば、ランキングに振り回されずに、その日食べたい一杯にたどり着ける。
こってり濃厚が好きなら、天下一品・一蘭・一風堂、つけ麺ならとみ田と六厘舎、一燈。極太麺を食べたいなら二郎系。辛味噌なら山形は遠いのでラーメン博物館の龍上海や、からみそラーメンふくろう。家系は町田商店で十分だと思っている。このあたりから試してみてほしい。
あっさり系が好きなら、自分が分からなかった飯田商店やしば田こそが、あなたの当たりかもしれない。でも結局ニンニク入れたら全部美味しく感じる私はバカ舌なのかもしれない。











































































